3人のドライバーで挑んだ最終戦は、河野選手が予選Q1を担当
伊東選手が予選Q2で3番手のタイムをマークし、決勝レースは17番手から上位を狙う
AUTOBACS SUPER GTの2024年シーズンを締めくくる第5戦『SUZUKA GT 300km RACE GRAND FINAL』が、12月7日から8日にかけて鈴鹿サーキットで開催されている。
本来なら8月末に行なわれるはずだった第5戦だが、台風の接近によって中止となり12月に延期されていた。
今季のスーパーGTは決勝レースにおいて、通常の300kmレースに加え350km、そして3時間のタイムレースの3パターンが採用されている。8月末の第5戦は350kmで競われるはずだったが、最終戦に移行し日照時間の関係もあり300kmに変更。350kmと3時間レースは第1、第2ドライバーに加えて、第3ドライバーの登録が認められているが、300kmとなった今戦も規定は生かされていて、LMcorsaは第3ドライバーに伊東黎明選手を起用した。
伊東選手は2020年から3シーズンにわたってOTG MOTORSPORTSからFIA-F4選手権に参戦。2023年にはスーパーGTにステップアップしていて、24歳の若手ドライバーながらトップカテゴリーでの走行経験を持っている。
11月2~3日にモビリティリゾートもてぎで実施された第8戦から約1カ月のインターバルが空き、その間にチームは最終戦に向けたメンテナンスや戦略を立ててきた。スーパーGTの最終戦は、遅いときでも11月下旬までに開催されていて、12月の実施はこれまでに経験がない。そのため、低い気温や路面温度がマシンにどのような影響を及ぼすかを考える必要があった。
どのチームも手探りのなかでの戦いとなった、2024年シーズンの最終戦は12月7日(土)に公式練習と予選、8日(日)に決勝レースが実施された。
走り始めとなる公式練習は予定していた9時15分にスタート。Syntium LMcorsa GR Supra GTには河野駿佑選手が乗り込み、マシンのチェックを含めて周回を重ねた。
コースインから1回のピットストップを挟み8周を走るとピットに戻り、メカニックがマシンのバランス調整などを行なう。今度は吉本大樹選手がステアリングを握り、マシンの状況を確認。方向性を確かめると、伊東選手がSyntium LMcorsa GR Supra GTでコースイン。昨年はGT3マシンに乗っていたので、慣れないGT300車両の特性を短時間で把握することに注力した。
安定したラップタイムで周回すると、公式練習開始から1時間が経過したところで河野選手がふたたび乗り込む。ニュータイヤ履き予選を想定した走行で、ベストタイムとなる1分58秒168をマーク。公式練習の最後には10分間のGT300クラス専有枠が用意されていて、ここでは伊東選手が予選シミュレーションを行なう予定だった。だが、コースオフした車両の影響で赤旗が提示されてセッションは終了となった。27台が参加した公式練習は、河野選手がマークしたベストタイムによって16番手となった。

<気象データ>
気温:14℃、路面温度:24℃(予選Q1時)
<予選>
今季のスーパーGTは、第5戦から悪天候での大会中止や予選がキャンセルになるなど、予定していたプログラムで進むことが少なかった。本来なら8月の第5戦から予選方式がアレンジされる予定だったが、実際に実行されたのは前戦のもてぎ大会だった。
GT300クラスは28台が一成に予選Q1を走行し、上位14台が予選Q2 UPPER、下位14台が予選Q2 LOWERを走る。最終的には合算したタイムが、決勝レースのスターティンググリッドになる。
14時13分から25分間で行なわれたGT300クラスの予選Q1は河野選手が担当。コースオープンとともにアタックを開始するマシンもあったが、LMcorsaはピットで待機することを選択した。残り時間が10分のところで河野選手はコースに入りウォームアップを開始する。3周にわたってタイヤやブレーキに熱を入れると4周目にアタックを実施。だがデグナーカーブで先行していたマシンがスピンしていたため黄旗が振られ、アタックを中断する。
翌周にアタックを再開したが、タイヤのグリップ性能はピークを越えていて、1分57秒777をマークするのが精一杯だった。結果的には21番手となり、予選Q2は15番手以下のLOWERグループでの出走となった。
GT500クラスの予選Q2を挟み、GT300クラスの予選Q2が始まった。Syntium LMcorsa GR Supra GTでは初の予選となった伊東選手だが、3周のウォームアップを挟んでアタックに入ると、1分56秒500をマーク。一時はタイム計時モニターのトップに表示される好タイムで、予選Q1ではトップ10相当だった。合算して競われる予選結果は3分54秒277で17位。最終戦の決勝レースは中盤グリッドからのスタートとなったが、チーム一丸となるポイント圏内を目指す。
<飯田章監督>
「最終戦はサクセスウエイトが降ろされ、本来のパフォーマンスでの勝負となりました。もちろん上位を狙っているのですが、公式練習からパッとしない様子でした」
「今回は伊東選手がチームに加わり、短い時間でしたが公式練習でステアリングを握りました。予選はQ2を担当してもらったのですが、見応えある走りでした。望んだ結果ではなかったのですが、決勝レースに向けては期待が持てる予選だったと思います。明日の決勝レースはレギュラーのふたりが乗る予定ですが、何とかポイントを持ち帰りたいです」
<河野駿佑選手>
「公式練習は私から乗り始めてタイヤやマシンのチェックを行ない、初乗りとなる伊東選手がなるべく周回を重ねられるプランを組んでいました。セットアップの方向性は悪くないと感じましたが、根本的にタイヤのグリップ性能が引き出せていないようでした。予選はQ1を担当し、アタックラップのやり直しがあったのですが、それでもタイムが伸びず悔しいです」
「予選Q2では伊東選手が好タイムをマークしてくれたので、合計で順位は上がりました。17番手からトップ10内まで追い上げるのは簡単ではないですが、良いレースで今季を締めくくりたいです」
<伊東黎明選手>
「公式練習はまず中古のタイヤで周回していき、5周ほどでしたが雰囲気は掴めたと思います。最後の専有走行で予選想定のアタックを行なうつもりでしたが、赤旗で終了したため、予選が初のニュータイヤとなりました。不安はありましたが、河野選手やチームのバックアップがあって冷静に走れました」
「3周のウォームアップを挟んでアタックしたのですが、セクター1と2は攻め切れませんでした。それでもタイムを残すことができ、翌周もアタックしましたが伸びませんでした。公式練習と予選ともに短い走行時間でしたが、与えられた役割を果たすことができて満足しています」