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投稿日: 2024.12.16 19:44
更新日: 2024.12.16 19:46

apr GR86 GT 2024スーパーGT第5戦鈴鹿 レースレポート


スーパーGT | apr GR86 GT 2024スーパーGT第5戦鈴鹿 レースレポート

2024 AUTOBACS SUPER GT Round 5
開催地:鈴鹿サーキット(三重県)/5.807km
12月7日(予選)
天候:晴れ コースコンディション:ドライ 観客数:1万8500人
12月8日(決勝)
天候:晴れ コースコンディション:ドライ 観客数:2万7000人

入賞も見えていた矢先のトラブル──それでもつかんだ来シーズンへの手応え

 台風の影響で順延となったスーパーGT第5戦鈴鹿が、12月7〜8日に2024年シーズンの最終戦として開催された。当初のレース距離は350kmを予定していたが、決勝後半は気温と路温が下がることが予想され、安全性を考慮して300kmレースにあらためられた。また、300kmレースでのドライタイヤ持ち込み本数は通常4セットとなるが、5セットまで持ち込めることになった。

 高速旋回が続く鈴鹿は、コーナリングマシンであるGTA-GT300車両が得意とするサーキットだ。しかし、現在のFIA-GT3車両は大きな下面が生み出すダウンフォースが強大で、大排気量エンジンによる加速も鋭い。鈴鹿はベストラインが1本しかないため『抜けないサーキット』とされ、決勝でのバトルは最高速に勝るFIA-GT3勢が有利になる。今年の6月に開催された第3戦でも、FIA-GT3車両が優勝している。

 apr GR86 GTにとっては、鈴鹿は第1ドライバー永井宏明の地元でありホームコース。第2ドライバーの小林利徠斗、そしてバックアップの備えとして第3ドライバーに織戸学を登録。入賞を目指し、今季最後の一戦に臨む。

公式練習/21位 12月7日(土)9:15〜10:52

 公式練習開始時の気温は11度、路面温度は12度。タイヤメーカーを問わず、GT300ではこれほどに寒い鈴鹿でのデータを持ち合わせていない。しかもapr GR86 GTは今季、フロントタイヤを710から680にサイズダウンしており、その開発に時間を要してきた。寒い時期での未知の鈴鹿大会に、不安があったのは事実だ。

 しかし、前戦もてぎで試した「これまでとは別方向のセッティング」も功を奏し、公式練習の始めからクルマとタイヤの両面でドライバーは好感触を得る。持ち込んだタイヤはソフト側が3セット、ハード側が2セット。まずはソフトタイヤを履いて小林がコースへ。

 冷えた路面でウォームアップに時間はかかるが、温まってからはすぐにグリップを感じ、6周目にセッション自己ベストとなる1分58秒791をマークする。その後は永井、小林へとドライバー交代を繰り返して確認を進めるが、セットアップをアジャストする必要がないくらいにクルマとタイヤはこのときの鈴鹿のコンディションにマッチしていた。

 GT300専有の時間帯には再び永井がステアリングを握るが、ウォーアップラップ中に赤旗が掲示されて走行終了。リザルト上は21番手タイムに留まったが、予選に向けて大きな手応えを感じられるセッションとなった。

公式予選 12月7日(土)
Q1/11位 14:13〜14:38
Q2 U14/14位 15:40〜15:55
総合結果14位

 今大会の予選はGT500クラスのQ1から始まり、13時50分時点の気温は14度、路面温度は21度。14時13分にスタートしたGT300クラスのQ1は小林が担当した。予選で選択したタイヤは公式練習でも好感触だったソフト。予選でも変わらず、クルマとタイヤのバランスが良い。ウォームアップの違いでアタックラップにバラつきがあり、小林はアタックラップでトラフィックに引っかかってしまったが、最小限のロスで1分56秒531を記録し、Q2上位グループのU14(Upper 14th)に進出する。

 Q2 U14担当の永井も、新品のソフトタイヤでコースへ。タイヤを温めながら着実にタイムを上げていくが、アタックラップをうまくまとめきれず、タイムは1分59秒291で14番手。総合結果でも14番手となった。なお、予選終了後、Q2のウォームアップラップ中にすでにアタックを開始していた他車の走行を妨害したとして5グリッド降格のペナルティが科され、決勝は19番グリッドからスタートすることになった。

永井宏明選手

「今回の持ち込みはタイヤもクルマも当たっていて、今シーズン一番いい感じでした。ただ、僕の予選はうまくまとめることができず、タイムを出せなかったのは悔しいですね。決勝に向けては、レース距離や搭載燃料も含めてこれから分析することになりますが、予選で良かった状態の延長線上で走れれば、結果も期待できると思っています」

小林利徠斗選手

「冷えた路面でのウォームアップにはちょっと怖さもありましたけど、走り出しの段階からグリップが高くて、アタックするほどクルマがどんどん曲がってくれるというか、これまで経験したことがないレベルのグリップ感でした。僕の予選アタックは、まだウォームアップ中のクルマに引っかかってしまって、それがなければコンマ5秒は少なくとも上がったと思います。ポジションで言うと6〜7番手。それくらいを狙えるポテンシャルはありました」

織戸学選手

「鈴鹿はもともとGR86との相性がいいのと、もてぎで試したセットアップも持ち込んだタイヤもハマった感じですね。公式練習では永井選手も小林選手も笑顔で降りてきて、バランスの良さを感じました。寒い時期での開催には不安もありましたが、今回のヨコハマタイヤは高荷重サーキットの鈴鹿にドンピシャでしたね。小林選手の予選も、気持ちいいアタックができたと思いますよ」

金曽裕人監督

「今回はクルマのセットアップが持ち込みから良かったですね。鈴鹿はテストでも走っているし、永井選手の地元だし、実績を重ねてきてしっかりツボを抑えられたと思います。永井選手にとっても得意の鈴鹿もあるが、ドライバーはふたりとも乗りやすいとのこと。小林選手の予選はまだいけた感じもありましたが予選結果は良いと思います。このセットは決勝でも悪くないはずなので、明日も楽しみです」

決勝レース(47周)/20位 12月8日(日)12:57〜14:41

 レース開始時の気温は13度、路面温度は17度と、前日の予選よりも低温のコンディション。タイヤのウォームアップが考慮され、フォーメーションラップは通常より1周多い2周となり、ローリングスタートで最終戦の幕が開けた。

 スタートドライバーは小林。上位グリッドで1台がピットスタートを選んだことで、オープニングラップを18番手で通過する。2周目には1台に抜かれてしまうが翌周には抜き返し、さらにオーバーテイクを続けて、9周目にFCY(フルコースイエロー)が導入されたときには14番手までポジションを上げていた。

 15周目からピットに向かう車両が出てくると、20周目には2番手に浮上する。チームとしては小林のスティントをロングにし、タイヤ無交換もプランにあった。それほどに調子が良かったが、21周目、タイヤにトラブルが発生して緊急ピット。急きょ永井にドライバー交代し、車両の損傷具合をチェックする必要もありタイムをロス。

 なんとか永井をコースに送り出すが、タイヤトラブルの破片によってエアロと足まわりを損傷。サスペンションがまともに機能しない状態で永井は走行を続け、苦しみながらも20位でチェッカーを受ける。入賞も狙えた展開だっただけに悔しさは残るが、トップと1周差で完走を果たしたことで3点のチームポイントを獲得。これにより来季のマレーシアラウンドへの参戦権利を得ることができた。

 今季は入賞することが叶わなかったが、セットアップの方向性、サイズダウンしたフロントタイヤ含め、来季への足がかりをつかんで最終戦を終えることができた。

永井宏明選手

「クルマのセット自体は良かったのですがバーストしたタイヤがサスペンションに巻き付き、トラブルを抱えた状態でずっと振動が出ていました。その状況では淡々と走ることしかできず、完走できたのは良かったと思います。苦労したシーズンでしたが、小林選手に経験を積んでもらうというミッションはクリアできたし、クルマのセットアップも来年に向けて良い準備ができて、流れ的には良い方向で終われたんじゃないかなと思います」

小林利徠斗選手

「今回は走り出しから予選まで悪くない状況で、決勝もさらに順位を上げるぞという意気込みでいました。実際、スタートしてからは順位を結構上げていけたのですが、ここからというところでタイヤにトラブルが発生してしまいました。今シーズン初めてスーパーGTに参戦して、最初のころは不慣れな部分が多くて迷惑をかけてしまいましたが、今回の鈴鹿で予選Q1を上位で突破できましたし、決勝もかなり上位にいけそうなところまで見えていたので、そういう意味では成長できた1年だと思います」

織戸学選手

「小林選手がどんどんオーバーテイクしながら、ペースも非常に良かったのですがタイヤトラブルが発生。なんとかピットには戻れましたが、そのラップのロスタイムが大きくて、永井選手のスティントでも淡々と走ることしかできず、そこは残念でした。今シーズンは僕もドライブさせてもらう機会があり、ちょっと苦労したところもありますが、鈴鹿の最終戦は良いかたちで終えられたのかなと思います。3人で楽しく走らせていただきました」

金曽裕人監督

「小林選手のスティントはアベレージも速かったし、タイヤ無交換がいけたら上位入賞が見えたレースでした。でもタイヤトラブルが起きて、永井選手のスティントではずっとバイブレーションが出ていて得意の鈴鹿だったのに耐えるのみの展開でした……。それでも完走して来年のマレーシアの権利を手にできたのは良かったですね。今シーズンはフロントタイヤが小さくなってトライの1年でしたが、それは必ず来年につなげます。小林選手もバトルに強くなったし、末恐ろしい成長を見せてくれました」


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