S-GT2025 OFFICIAL TEST1 Okayama
LMcorsa REPORT
#60 SYNTIUM LMcorsa LC500 GT
2025年シーズンの幕開けとなる公式テストは、雨がらみの天候となるが、LC500 GTの新車は順調に周回を重ね、ポテンシャルの高さを示す
LM corsaは2021年シーズンから、それまでのレクサスRC F GT3に代わりGR Supra GTを導入してきた。GT300の車両規定によって製作されたGR Supra GTは初年度から優れたポテンシャルを見ると、年間2勝をあげてポイントランキング3位を獲得。2014年にスーパーGTへの参戦を開始してから、もっとも成功を収めたシーズンとなった。
しかし2022年以降はレギュレーションの変更もあり、苦戦を強いられることとなる。GR Supra GTは、国内外の自動車メーカーが生産しているGT3マシンとは異なり、チームごとにある程度の変更や製作が可能となっている。
LM corsaの母体となる大阪トヨペットグループでは、メカニックの技術を研鑽することや向上させる目的のためGT300規定の車両を選んだ。4シーズンにわたって用いられたGR Supra GTは、シーズンオフには可能な限りのメンテナンスを実施してきたが、経年による傷みは否めなくなった。
そこで、チームは2025年シーズンからマシンを変更すべく、昨シーズン中から準備を進めてきた。車両はGR Supra GTと同じGT300規定で作られたレクサスLC500 GT。ハイブリッドエンジンを搭載したレクサスLC500hは他チームが2023年シーズンから投入してきたが、NAエンジンを搭載したモデルはスーパーGTに初登場となる。
新車となるLC500 GTはGR Supra GTに対してホイールベースが長く、エンジン搭載位置がコクピット側に寄ったために前後車軸の重量配分が理想的な状況になった。エンジン自体は変わっていないので、特性に変更なく多くの部分が共用となっている。チームは2月にシェイクダウンテストを実施し、その後はGT300クラスが参加できるテストでも走行距離を稼ぎ、マシンへの熟成度を上げてきた。
そして、スーパーGT 2025年シリーズの幕開けとなる公式テストが3月15日(土)、16日(日)に岡山国際サーキットを舞台に行われ、GT500クラスの15台とGT300クラスの26台が参加。マシンも新たとなったが、今季はドライバーも吉本大樹選手、河野駿佑選手に加えて第3ドライバーに伊東黎明選手が登録された。伊東選手は昨年の第5戦でも予選を担当し、好タイムをマーク。2023年にはスーパーGTで1シーズンを戦っている。
今シーズン初の公式プログラムとなったスーパーGTの公式テストだが、2日間とも雨がらみの天候となってしまった。当初のスケジュールでは15日(土)、16日(日)ともに2時間が2回の計8時間の走行枠が用意されていたが、天気予報では2日目に雨量が多くなるということで、初日の走行時間が5時間に延長された。
1回目の走行となるセッション1は15日の9時30分から11時50分までの2時間20分で行われた。3月中旬なので通常は春を感じさせる陽気になることもあるが、今週末は全国的に冷え込んでいて、朝の最低気温は5℃を下回っていた。
肌寒いコンディションとなったなかで、LC500 GTには吉本選手が乗り込み、まずはマシンのチェックを行う。セッションは序盤から車両がストップしたりクラッシュの影響で数回の中断があった。それでも、吉本選手は順調に周回を重ねる。しかし、スタートから1時間が経ったところで雨が降り始め、10時40分にはレインタイヤが履けるウエット宣言が出された。
残り30分となったところで、吉本選手から河野選手に乗り替わり、最後はウエット路面をドライタイヤで走る難しい状況だった。結果として吉本選手が39周、河野選手が20周の計59周を走行し、ベストタイムは1分26秒711でGT300クラスの26台中12位となった。セッション2からセッション4までは雨量こそ異なるものの、すべての走行枠がウエットコンディションとなり、レインタイヤを履くこととなる。
14時から16時40分までの2時間40分で実施されたセッション2は、吉本選手が再びステアリングを握って9周を走行すると、雨量が増えてきたため1時間半ほどピットで待機する。16時前になると雨が小降りとなり、河野選手がスリックタイヤを履いてコースイン。15周ほど周回したが、最後はクラッシュしたマシンを回収するため赤旗が提示されてセッション2は終了した。
テスト2日目となった16日(日)も雨天となり、9時30分から始まったセッション3は、吉本選手が13周を走行したのみで終了。雨量は増えたり減ったりを繰り返しながら、最後のセッション4は13時45分にスタートする。まずはセーフティカーの訓練が行われ、吉本選手が13周を走行。後半は河野選手がピットインを繰り返しながら周回していき、合計で39周を走った。
1日を通して雨が降った16日だが、セッション3が4位、セッション4が7位とウエットコンディションでもポテンシャルの高さを示した。2回目となる公式テストは3月29日、30日に富士スピードウェイで実施され、スーパーGTの2025シーズンは開幕戦を迎える。
飯田章監督
「今季は、車両を変えて一新のシーズンとなります。まだ走行する機会は少ないですが、コース上で見ていてもシャープな動きをしていますし、ドライバーのコメントからも素性の良さがうかがえます。今回の公式テストは天候が思わしくなく、予定していたメニューは消化できませんでしたが、初期のトラブルシューティングはできました。新車ならではのいくつかのトラブルが出たことはポジティブに捉えています。LC500 GTのポテンシャルを考えると、開幕戦の岡山国際サーキットが楽しみですし、シーズンを通して活躍できるように準備を進めて行きます」
吉本大樹選手
「シェイクダウンテストを含めて3回目の走行となりましたが、LC500 GTのポテンシャルは高そうです。GR Supra GTに比べてホイールベースが長くなったことと、その影響でエンジン搭載位置が後方になっているのが最大の特徴です。エンジンや足まわりなどはGR Supra GTと共通な部分が多いので加速感などの特性は似ていますが、コーナリングやブレーキングの性能が異なります。今回はドライで想定していたテストができなかったのですが、その代りにレインタイヤでの走行は重ねられました。まだまだ煮詰めていくところはありますが、シーズン前のテストとしては良い感覚です」
河野駿佑選手
「公式テストの初日は2セッションともスリックタイヤ、2日目はレインタイヤでの走行となりました。ともに気温が低く装着したタイヤと温度域が異なっていて、細かいところまで煮詰めることはできませんでした。それでも2月のテストを含めてネガティブな印象はなく、LC500 GTの戦闘力を感じています。今回はドライコンディションでのセットアップなどはできませんでしたが、初期のトラブルシューティングはできました。また、難しいコンディションのなかでクラッシュもあったのですが、我々はトラブルフリーで2日間を走り抜くことができました」