ドライ路面で見えてきた課題と、得られた開幕戦への自信。
片山義章とロベルト・メリ・ムンタンは、3月29日~30日に静岡県・富士スピードウェイで開催された『スーパーGT富士公式テスト』の2日目に参加。午前中のセッション3を4番手、午後のセッション4を13番手で終えた。
UNI-ROBO BLUEGRASS FERRARIは前日のウエットコンディションで片山がトップタイムをマーク。先日の岡山公式テストでもウエット路面ではトップタイムをマークしていただけに、チームとしても自信を深めた。
3月30日、テスト2日目は待望のドライコンディション。朝の段階で気温11度、路面温度8度とすでに前日よりもコンディションは好天しており、走行開始直後にはいくつかあったウエットパッチもGT車両が走行することで、すぐに乾き始めた。
シーズン開幕前の最後のテストということで、セーフティカーの練習やFCYの練習等がセッション3には組み込まれたが、チームは短い時間のなかで開幕戦に向けて最後のデータ収集をすべく、詳細なテストプログラムを組んでセッションをスタートさせた。
午前中のセッション3ではパフォーマンスランを中心にセットアップを進め、ユーズドタイヤを履いた片山義章選手が終盤トップタイムをマークすると、そのアドバイスでセットアップをアジャストしてニュータイヤを履いたメリ・ムンタンが1分35秒748をマーク。上位3台とは異なるタイヤコンパウンドということもあり、満足できる内容での4番手タイムであった。
午後のセッション4では、主として岡山での開幕戦に向けたレースシミュレーションを行った。新たなメカニックたちとのピット作業の導線チェックや、ロングランでのタイヤ戦略の違いによるロスタイムの比較チェックなどを実施。細かなトラブルはいくつかあったが、タイム的には安定しており、開幕戦に向けての課題も確認できた。
タイム的にはメリ・ムンタンが1分36秒710を51周目にマークし、13番手タイムではあったが、ふたりのドライバーが午前60周、午後59周を走り切り、しっかりと内容の濃いテストができた。
今回のスーパーGT富士公式テストには多くのファンが詰めかけてくれた。悪コンディションの初日を含め、2日間での入場者数は1万1200人と昨年の11%増という数字が、今年もスーパーGTの人気を物語っている。
次はいよいよ開幕戦、岡山国際サーキット。ホームコースで勝利を狙うVELOREXの活躍にご期待ください。
●片山義章のコメント
「今日は午前中いろいろドライタイヤで試すことができて、一時はユーズドタイヤでトップタイムをマークすることもできたのですが、ニュータイヤではアンダーステアが強くてうまくいかず、その点を踏まえてロベルト・メリ・ムンタン選手にアドバイスし、彼がニュータイヤで4番手タイムをマークしました。午後はレースに備えてロングランとピット作業のシミュレーションをしましたが、ペース的にも安定して速く走ることができて、満足できるテストでした」
「昨年の10月くらいからタイヤテスト等でGT3車両に乗る機会も増え、タイヤに対する理解も深まり、時間があればカートにも積極的に乗って小さなマシンを振り回す感覚を磨くように練習してきました。ウエット路面でのコントロールがうまくなった自信がありますし、日常生活もレースで勝つことに集中し、食事や栄養面にもつねに気をつかい、フィジカル面でもメンタル面でも、そしてドライビング面でも自分自身のレベルを上げ、とにかくスーパーGTで勝ちたい気持ちでいっぱいです。今回も良い2日間のテストができましたし、岡山での開幕戦が楽しみです」
●ロベルト・メリ・ムンタンのコメント
「2日間のテストを通して、非常にポジティブなフィーリングを感じている。すべてがうまくいったテストだった。チームは素晴らしい仕事をしてくれたし、フェラーリはとても速かった。今回のテストを通じて得られたデータをすべて丁寧に解析し、何が我々にとってベストな選択なのかを確認しなければならない。それが勝利への最短距離だろう。個人的にはヨコハマタイヤのウエットタイヤの素晴らしさが印象的で、技術的な進化が今シーズンを戦ううえで、とてもポジティブな要素だったと思う」
●小倉啓悟監督のコメント
「今回のテストは2日間で天候の変化もありましたし、マシンの良いところも悪いところも発見でき、チームとしても良いテストとなりました。ウエットの初日はトップタイムをマークできたこともありますが、ウエットタイヤに対する理解度も高まり、タイヤ性能の向上もあって安定した速さを維持できるようになったのが大きいですね」
「今日はロングランを中心にピット戦略やピット作業の確認をしたのですが、ピットワーク等にも改善点が発見できて、課題が見えてきたと思います。タイム的にはふたりのドライバーともに安定していてミスも無く、しっかり走り込むことができましたし、良いデータが収集できました。これからそれを細かく解析して、レースにどう生かしていくかを確認しなければなりません。表彰台の中央に立つために、できることは全てやる所存です」
●古場博之エントラント代表のコメント
「今日のテストは充実した内容だったと思います。午前中はパフォーマンスランを中心に進めていきましたが、実際には持ち込んだタイヤと路面温度のレンジが合わず、自分たちとは異なるタイヤを選んだライバルたちのタイムと比較することで、逆に岡山に向けてのタイヤ選択が見極められたと思っています」
「セッション3で片山義章選手はユーズドタイヤで一時はトップを奪いましたし、ウエットでもドライでも、トップ争いができる速さはあると確認できました。午後はロングランを中心にさまざまなことを試しました。レースに向けたシミュレーションも検討できましたし、ピット作業時におけるメカニックの動きの課題もわかりました。岡山での開幕戦に向けて、あまり時間はありませんが、ひとつひとつの課題をしっかりとクリアしていきたいと思っています」ういった意味で明日のテストは富士戦へのテストというより、今シーズンを戦う為のテストというとらえ方をしています」