新車のLC500 GTで挑んだ開幕戦は、コンディション変化に悩まされたが 吉本選手が予選Q1を突破し、予選Q2で河野選手が17番手となる
今季も8大会の開催が予定されているSUPER GT 2025 SERIESが、4月12~13日に岡山国際サーキットで開幕した。
年間の大会数は例年どおりだが、今シーズンは2019年以来の海外戦が6月末にマレーシアのセパン・インターナショナル・サーキットで実施される。同サーキットでスーパーGTスーパーGTが開催されるのは2013年以来で、決勝は初のナイトレースが予定されている。
開催サーキット以外にも今季のスーパーGTは変更点が多く、LM corsaがエントリーしているGT300クラスでは“ドライバーに与えられるポイント制度”やポイントを獲得したあとの“サクセスウエイト”、“予選方法”に手が加えられた。決勝レースの上位入賞ドライバーへのポイント付与はこれまで1位から10位までで、優勝すると20点だった。だが、今季は1位から15位まで付与され、トップを獲ると25点が獲得できる。また、シリーズランキングは年間8大会中7戦の有効ポイント制となった。
スーパーGTでは、好成績を残したマシンにハンデウエイトを搭載する“サクセスウエイト制”を導入していて、決勝レースでポイントを獲得した場合は、翌戦で1ポイントに対して2kgのウエイトを積むことになる。ポイントと重量の関係性に変化はないが、サクセスウエイトが50kg以上になった場合は、ウエイトではなく給油時に燃料の流量を制限してハンデを消化することになった。
加えて予選方法は、昨シーズンの予選Q1、Q2のタイム合算ではなくなり、以前のノックアウト制となった。ただ、予選Q1はA、Bの2グループに分けられ、上位9台が予選Q2に進出できる。これらが主なレギュレーションの変更点で、GT300クラスは今季も28台のマシンがシリーズチャンピオンを競う。
今季はチーム側でも大きな変換点となり、4シーズンにわたって使用してきたGR Supra GTからLC500 GTにマシンをスイッチした。GR Supraと同様のGT300規定によって製作したLC500 GTは、搭載しているパワートレインなどは同様。ただ、ホイールベースが規定により広くなっている。そのためエンジン搭載位置がマシンの中央によるなど、レーシングカーとしては理想的な前後重量配分となった。
チーム監督は飯田章氏のままだが、ドライバーは昨年の第5戦で起用した伊東黎明選手が第3ドライバーとして登録された。第1ドライバー吉本大樹選手、第2ドライバーの河野駿佑選手とトリオでシーズンを戦うことになる。このように大会、チームともに多くの変化があり、いかに早く状況に合わせていくかが好成績を残すポイントになるはずだ。
待望の開幕戦となる『OKAYAMA GT300km RACE』は、4月12日(土)に公式練習と予選、13日(日)に決勝レースを実施。走り出しとなった公式練習は、9時30分から11時15分までで行なわれ、最後はGT300クラスとGT500クラスの専有走行がそれぞれ10分間で設けられている。
ニューマシンとなったLC500 GTには吉本選手が乗り込み、まずはマシンの状況をチェック。持ち込みのセットアップとコンディションが合わず、セットアップを繰り返しながら周回を重ねる。公式練習がスタートしてから50分が経過したところで、LC500 GTには河野選手が乗り込む。9周を走行してマシンの状況を掴むと、最後は吉本選手がニュータイヤを履く状況を確認した。
ふたりのドライバーが乗り込んだ公式練習は、吉本選手がマークした1分26秒703がベストタイムでGT300クラスの28台中18番手の結果となった。
<気象データ>
気温15℃、路面温度23℃(公式練習スタート時)
気温21℃、路面温度36℃(予選時)
<予選>
開幕戦ということや好天に恵まれたことで、予選日から岡山国際サーキットには多くのスーパーGTファンが駆け付けた。公式練習のあとにはピットウォークが実施され、ピットレーンはぎっしりの来場者で埋まるほどだった。
前述のとおりGT300クラスの予選Q1は2組にわけられ、上位9台が予選Q2に進出する。LC500 GTには吉本選手が乗り込みコースイン。公式練習では路面コンディションとマシンの状態が合っていないということで、短い時間でメカニックが調整を施した。
吉本選手はアウトラップから計測3周目までをウォームアップに充てると、計測4周目にアタックに入る。セクター1では全体ベストタイムをマークすると、1分25秒606をマーク。計測した時点では3番手のタイムで、結果的には6番手で予選Q2へ進出を果たした。
GT500クラスの予選Q1を挟んで、GT300クラスの予選Q2がスタート。河野選手もアウトラップから3周目までにタイヤやブレーキに熱を入れると、4周目にアタックを開始。しかしセクター1、2ともにタイムが伸びず、仕切り直してアタックを継続した。
5周目は全セクターで自己ベストを更新し1分25秒864、さらに6周目もアタックし1分25秒661まで伸ばす。それでもライバル勢が好タイムをマークしたため予選Q2の結果は17位で、明日の決勝レースは17番グリッドからスタートする。
●飯田章監督
「マシンがLC500 GTに替わりシーズンオフや公式テストでは好調さを示していたので、開幕戦には期待していました。ですが、路面コンディションの影響なのか公式練習から本来のパフォーマンスが出ませんでした。メカニックが懸命にセットアップを変更してくれたことで、吉本選手が担当した予選Q1では好タイムをマークできました」
「予選Q2もコンディションに合わせ切れなかったのかタイムが伸びず、17番手となりました。つまずいた結果となりましたが、決勝レースでは天候が荒れることも予想されるので巻き返したいです」
●吉本大樹選手
「公式練習の走り出しからフィーリングが良くない状態で、公式テストのときに感じたパフォーマンスがありませんでした。今回のコンディションに合っていないのか、後半にニュータイヤを投入しても状況は変わりませんでした」
「予選に向けて大幅にセットアップを変更してもらい、予選Q1はぶっつけ本番の状況で挑みました。コンディションが変わったこともありパフォーマンスは上がっていて、もう少しタイムが上げられるほどでした。決勝レースは中団からのスタートですが、天候を見方につけてトップ6以内を目指します」
●河野駿佑選手
「公式練習は終盤に乗ったのですが、タイヤとコンディションが合わず何か手を入れられる状況ではありませんでした。公式テストでのポジティブな印象がなく、テストとの違いを見極めながら予選に向けてセットアップを変えました。予選Q1を吉本選手が突破しもらい、期待を込めて走ったのですが、パフォーマンスを引き出せず悔しい結果となりました」
「マシンが想像以上にオーバーステアだったことや、アタックのタイミングがまずかったです。明日の決勝レースは追い上げるだけなので、確実にポジションをアップしていきたいです」