結論から言えば、3メーカーとも本来上位に来る速さがあるはずの有力チームが相次ぐアクシデントで順位を下げたため、決勝では彼らが順位を上げてくることは間違いなく、GT500の決勝は大きな順位変動が見らる展開になりそうだ。
その中でも注目点としては、トップのRAYBRIGのロングランペース&タイヤのピックアップ(タイヤかすが取れずに自分のタイヤの表目に残り、グリップ低下を招く)の度合いと、そのタイミング。決勝日は予選日と同じく路面温度が50度近くになる夏日となりそうで、タイヤのタレが厳しくなる。タイヤがスライドしてしまう状況が多くなればなるほど、ピックアップの頻度は高まってしまう。
RAYBRIGには練習走行時からすでにピックアップの症状が見られていたとの情報もあり、決勝日にどこまでピックアップを起こさない/起きても小被害に留める対応ができるかが勝負どころとなる。もしピックアップが早い段階で起きてしまったり、またはその箇所が前輪に起きてしまうようだと、走行しながら前輪のタイヤかすを獲ることは難しく、ペース低下の大きな要因になってしまう。フロントを滑らさない走りが決勝中の重要なミッションとなりそうだ。
また、2番手のS Roadに関しては、「気温が高くなった予選のミシュランのパフォーマンスはたしかに高かったけど、決勝では摩耗が厳しいのではないか」というライバル陣営の見方もあり、高温下でのタイヤマネジメントが勝負どころとなりそう。さらにヨコハマタイヤ陣営も、持ち込んだタイヤ選択を若干、外してしまったようで、MOTUL MUGEN NSX-GTが一発のタイムを出して4番グリッドを獲得したものの、明日は5番手以下の猛追を抑えるような展開になると予想されている。
と、ここまでの上位の状況を鑑みて、これまであまり触れられなかった1台がある。3番グリッドのDENSO KOBELCO SARD LC500だ。
DENSOはauと同じく、今回のレクサス陣営の中で燃料流量リストリクター制限を受けていないブリヂストンユーザーで、優勝候補の一角ではあった。ただ、練習走行で7番手、予選Q1でも4番手と特段、目立ったパフォーマンスを見せておらず、あまり本命視はされていなかったが、話題に上がらない影でしっかりとQ2に残り、そこで2列目グリッドを獲得していた。
予選上位の面々の多くのマシンに、ウイークポイントになりそうな不安要素が見られる一方、今回のDENSOにはタイヤ、ドライバー、セットアップに弱点が見られない。予選と同様にサバイバルになりそうな決勝の展開の中で、昨年王者がスルスルとトップに上がって行きそうな気配が漂っている。