■トントン拍子に進んだS耐チーム
Kii:今年はさらに、スーパー耐久でもご自身のチーム『T’s CONCEPT』を作りましたが、それについては。
TK:レースって金がかかるな、と思いましたね(笑)。スーパー耐久ではチーム代表をしながら、ホテルの手配、食事の予約、エントリーもろもろを全部自分でやるので、本当に大変だなと。あとは、ふだんドライバーの立場だったらバンバンニュータイヤを使いたいけど、チームオーナーの立場だと、予算を気にして「ここはちょっと中古でいこうかな」とかね(笑)。そういう葛藤はあります。
Kii:スーパー耐久のチームを作る構想はいつ頃から考えていたんですか?
TK:去年の夏くらいかな。いろいろと自分のまわりで話が出はじめて、これをまとめればできるんじゃないか……と思って、動き出したのが11月後半くらい。それからバババっとやって、1月になんとか目途がついて、そこから車両を手配して……だったので、開幕まではけっこうドタバタでした。

Kii:スーパーフォーミュラの監督、そしてスーパー耐久のチーム代表をやって、ドライビング面で変化はありましたか?
TK:ドライビングの技術面では変化はないですし、もともと頑張ってはいるのですが、裏方のみんなの気持ちや大変さを知った分、気持ちの面で「もっと踏ん張らなきゃアカン」みたいなのは増えましたね。自分が走るために何が起きていて、どれほどの人たちが動いているのか、どんな気持ちで見てくれているのかをより理解しました。だから「簡単にあきらめるのはよそう」と思いました(笑)。
Kii:では今シーズン後半戦の意気込みを教えて下さい。
TK:今年はGTのチャンピオンを獲る予定の年なので、ちゃんとレースを進めていきたいですし、スーパーフォーミュラは早くチームが優勝して欲しいと思っています。スーパー耐久は“楽しむ”というテーマなので、ジェントルマンドライバーがみんなが楽しく安全にレースをできるようにしたい。それぞれのフィールドで目的があって、それを全部達成できたら最高の年になると思うので、実現できるように努力したいと思います。

<編集部から>
ホントはスーパーGTの際はひとりのみの予定だったこの突撃インタビュー。きいさんの突然の現場アポ取りにご対応くださった片岡選手、ありがとうございます! 質問もきいさんに考えてもらいましたが、“TK節”が出ているのではないでしょうか。
片岡龍也
1979年5月1日愛知県生まれ。レーシングカートで実績を積み、2000年に四輪デビュー。全日本F3を経て、03年には全日本GT選手権(JGTC)にシグマテック・セリカでデビュー。スポット参戦でいきなり優勝を飾った。以降フォーミュラ・ニッポンやスーパーGTでトップドライバーのひとりとして活躍。また、D1挑戦などカート出身の枠にはまらぬ活躍をみせる。12年からGOODSMILE RACING & Team UKYOに加入し、谷口信輝とのコンビは6年目になる。実家は名古屋の手羽先屋さん『うーちゃん家』。