
■モータースポーツを通じた台湾からの思い
もうひとつは、クリアプレックス社でアジアパシフィック地域のマネージングディレクターを務める、台湾のジェントルマンドライバー、クレイグ・リウだ。クリアプレックス社は、欧米ではメジャーな自動車のフロントウインドウ用飛び石対策フィルムを手がける会社。スーパーGTはもちろん多くのレーシングカーで、オイル等の汚れをすぐにはがせる『ティアオフフィルム』が活用されているが、クリアプレックスのフィルムは多くのチームが使用している。
クレイグはそのマネージングディレクターを務める一方、ジェントルマンドライバーとして台湾国内のレースやGTアジアで戦っている。2013年12月、台湾の大鵬湾国際サーキットで開催された『TSFアジア オールスターチャレンジ』にクレイグは参戦していたが、そこで寿一や、20日の会見にも出席した密山祥吾、横溝直輝、さらに平中克幸や吉本大樹、藤井誠暢といった多くの日本人ドライバーが参戦し、台湾のジェントルマンドライバーたちの“先生”としてコンビを組んで戦っていた。
寿一、密山ら日本人ドライバーたちとクレイグら台湾人ドライバーたちはあっという間に意気投合し、その後も「友人のような間柄(密山)」として、モータースポーツを通じた日台の交流を深めていた。今回の熊本地震に対し、クレイグ、そしてクリアプレックス・ジャパンは、『SAVE JAPAN Action! KUMAMOTO』を通じ100万円という多額の寄付を申し出た。
「僕は台湾で生まれ育っているけれど、台湾はご存知のとおり地震が多い国だ。日本と同様、被災したときに生活を立て直し、ふだんの生活に戻すことがいかに大変なことか、身をもって知っている」とクレイグ。
「私たちは小さな組織で、クリアプレックスでできることには限りがある。でも、私たちがとった行動がモータースポーツや自動車業界を通じて、小さな“気づき”になってくれればと思っている。寿一さんがやっているチャリティ活動というものは、志があっても非常に困難もともなうものだ。それをイニシアチブをとってやっているのは素晴らしいことだ」

