■「雨が降れば9点差はあってないようなもの」
ただ、これまで述べてきた話は、すべて「もてぎの天候が晴れていたら」の話だ。谷口/片岡組のチャンピオンは、限りなく近い位置にありながらも、谷口自身はある条件によっては、「9点差はあってないようなもの」だという。それは雨が降ることだ。
「路面が濡れているのか、乾いているのかが大きな問題。雨が降ると、ブリヂストン装着車が速く、ダンロップも速い。僕たちのヨコハマは、今年は少し雨だと苦しい。ブリヂストン、ダンロップが上位に行ったら、それだけでもう前に8台いることになる」と谷口は言う。
「そうなると僕たちはかなり厳しくなる。特に雨が降ると、ヨコハマ勢でもミッドシップやポルシェが速くもなる。もちろんドライだったら、9ポイント差をひっくり返されない自信はある。ライバルの2台とも近い位置にはいられると思うしね」
実際、今季GT300でのウエットが絡んだレースでブリヂストンが圧倒的にペースが速かったことは、第4戦SUGOの決勝レースでのラップタイムをはじめとした多くの記録が裏付けている。また、少量の雨だった場合はダンロップが強い。
「だから、雨が降ったら9ポイント差は無いに等しい。でもドライだったら、9ポイント差はすごく大きい」と谷口。

■4台のドライバー以外にも複雑に絡み合う思惑
ドライか、ウエットか。それによっても、注目のチャンピオン争いは大いに左右されそうだ。また、このもてぎでは毎年のように得意としているチームが複数いる。#31 TOYOTA PRIUS apr GTやHitotsuyama Audi R8 LMS、D’station Porsche、GAINER TANAX AMG GT3などは特にその候補に挙げられるだろう。
また、昨年勝利で最終戦を飾り、悲願のチャンピオンを獲得したVivaC 86 MCも、今季はタイトルの可能性こそなくしたが、第6戦鈴鹿でのクラッシュの影響が少しでもなくなれば、上位に絡んでくる可能性は高い。
チャンピオン争いに関係がなくなったチームたちも、2018年に向けて少しでもいい順位を残そうと上位を狙ってくるはずで、タイトル争いをしている面々にとっては、“やっかいな存在”なのは間違いない。
タイトルを争う4台8名のドライバー以外にも、26台54名のドライバーの思惑が複雑に絡み合う最終戦。いったいどんなドラマが今年を締めくくるのだろうか。
