「不安要素があるとすれば、道具が大部分を占めるスポーツなので、何が壊れるか分からないし、ふたりのドライバーで競うのでどちらかのドライバーがミスをするかもしれない。ピットでのタイヤ交換もあっていろいろな要素が含まれているので、そう簡単にすべてが上手くいくとは思っていませんが、いつも通りできればタイトルは獲れると思っています」
独走するKeePerを追う筆頭マシンは、同じレクサスのWAKO’S 4CR LC500。今シーズンはまだ優勝こそないものの、表彰台を4度獲得、そしてWAKO’Sをメンテナンスするチームルマンは、スーパーGTでこのツインリンクもてぎをめっぽう得意としており、毎年のように上位争いに絡んできている。
同じレクサス陣営同士といて、KeePerとWAKO’Sの一騎打ちという展開になりそうな気配も漂っているが、ニッサン、ホンダも当然、一矢報いる覚悟で最終戦に臨んでくる。
ニッサンの筆頭はタイトル獲得の権利を保有しているMOTUL AUTECH GT-Rだ。KeePer、WAKO’Sが装着するブリヂストンタイヤと異なる、ミシュランタイヤを装着していることからも、当日の路面コンディション次第ではミシュランタイヤがマッチングしてブリヂストン陣営を凌駕する、という可能性も考えられる。
また、極端に気温が下がったり雨になった場合、躍進してきそうなのがホンダ陣営だ。ミッドシップのNSXはリヤのウォームアップ性に優れており、LC500,GT-Rとは異なる特性を備える。今季のNSXは予選では速く、決勝になるとアクシデントやトラブルなどで順位を下げる展開が多かった。
第4戦、第5戦とNSXは今季2勝を挙げていることからも、気温が低くなってタイヤかすが取れなくなるピックアップの症状が起こらなければ、NSXが存在感を示す展開が見られるかもしれない。
いずれにしても、最終戦を制するにはまずは予選で上位グリッドを獲得し、そして決勝レースでコンディションにマッチしたタイヤ選択を行うことが大きなポイントになる。ウエイトハンデがないイコールコンディション、ガチンコの正攻法での戦いで、今シーズンの最強チーム、ドライバーコンビがどこなのかを見極めたい。
開幕2戦で表彰台を独占して「春のレクサス祭」として始まった2017年シーズンのGT500クラス。果たして、ツインリンクもてぎ戦を制するのはどのチーム、そしてドライバーなのか。そして、年間チャンピオンに輝くのは、どのドライバーなのか。今週末、いよいよ最後の戦いが火蓋を切る。

