GT300決勝《あと読み》:GOODSMILE RACING & Team UKYOの王座への思い結実。実は「余裕じゃなかった」タイトル獲得
さらに、このレースではタイトル争いの4台のほかにも、獲得ポイント数を下げてしまうライバルたちの存在があった。彼らに上位に入られると、必然的に得点が減り、逆転の可能性すらあったのだ。ただ今回のレースでは、それらのライバルにトラブルが相次いだのも、グッドスマイル 初音ミク AMGのタイトル獲得を後押しするかたちになったと言える。
まず、今週末上位を争っていたマネパ ランボルギーニ GT3が12周目にエンジントラブルのためストップ。
また、優勝を争うスピードをみせたD’station Porscheは、スヴェン・ミューラーがドライブ中、GAINER TANAX AMG GT3と争った際に接触し、ホイールのバルブを破損。リヤのみの二輪交換で藤井誠暢に交代した後、右フロントのパンクチャーに見舞われてしまった。
谷口が競った松井も、ギヤが入りづらいトラブルにより、先行を許した。ちなみに、松井は抜かれた際、ギヤが入らなくなってしまったという。
「レースはこんなものだと思う。10ポイントあっても、リタイアしたらそれで終わりだし」とチームの河野高男エンジニアはレース後、ホッとしたように語った。ライバルに起きたことは、グッドスマイル 初音ミク AMGにも起きうる。そして実際苦しいペースを強いられた。
「そういう意味では、みんなギリギリのなかで勝つために強い思いでやってくれた。片岡も(タイヤやマシンに)優しく走ってくれたし、谷口もなんとかコントロールして走ってくれた。ヨコハマさんが作ってくれたタイヤも、すごく速かったのは間違いない」
こうして谷口と片岡は、三度目のチャンピオンを得た。今年彼ら、そしてGOODSMILE RACING & Team UKYOのメンバーは、どうしてもタイトルが欲しかったのだ。
初音ミクGTプロジェクトの10年目、ヨコハマの100周年。そして、チームのメンバー全員にとって、チャンピオンが欲しいある理由があったのだ。その思いが結実し、ふたりのドライバーが実行してみせたのが、今シーズンの最終戦だった。