初優勝を意識するようになると、ピット内は緊張感に包まれた。それを無線を通じて感じていた小林が「落ち着いてください。大丈夫ですよ、僕が絶対勝って帰りますから」と声をかける。レース後、その場面を振り返った中山は、「魅せるよねぇ、カッコよすぎ」と小林を称える。

 中山にとっても自身初の優勝だったが、中山は小林を信じ、「これまでにないくらい、落ち着いてモニターを見ていた」という。ただ、パルクフェルメにクルマを止めた小林のもとへは、だいぶ遅れて到着した。「初めての優勝で、どこに行けばいいのか分からなくて(笑)」。

「マサ(坂東正敬)さんからは、『中山を褒めてあげてください』と声をかけてもらった」とは石田監督だ。中山には過去3年、チームのために我慢を強いることも多かったという。本来なら今年、MCを小林よりも理解しているぶん、予選ではQ2、決勝は“魅せられる”後半スティントの担当を望んでもおかしくない立場にある。それでも中山は「勝つために一番いい」として、自らQ1とスタート担当を名乗り出た。

 決勝でタイヤを労る走りに徹した中山が、目立つ場面はなかった。しかし、小林は「いいタイヤでつないでくれたから勝てた」と話す。そして、「僕が来たから勝てたんじゃない。これまでの3年間でクルマを作ってきたチームの力です」と続けた。

 中山と小林はかつてSRS-F(鈴鹿サーキット・レーシングスクール・フォーミュラ)の同期生であり、トップカテゴリーを目指す当時は、ライバル心に溢れていた。それがいまは、互いに最高の相棒となった。勝ち方も学んだ今季、18号車はもっと強くなる。

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