Toshiyuki Endo

 さらに、「トヨタがこういう機会を彼に与えていること自体が、彼というドライバーの能力の証明でもあると私は理解している」との旨もコバライネンは語っていたほどだ。

 坪井自身はこう振り返る。「昨日が3周、今日のレース直前ウォームアップ走行でも6周でしたから、準備できてなさすぎでした。チームとしてはいい感じ(のレースウイーク)でしたが、正直、僕自身は不安がありました。しかもトップ争いをするという重大な責任まで生じましたからね」。

 でも、坪井はその重責を果たした。「そうですね。不安があっても、走ったらスイッチ入りますし、ヘイキさんからもアウトラップのこととかいろいろ聞いていましたから。広いコースの富士ということもあるでしょうけど、トラフィックに関しても(スピードを)落としすぎずにうまく走れたと思います。手応えは、思っていた以上に得られました。結果にも結びつきましたから、今後への自信にもなると思います」。

 坪井のポテンシャルと、走行時間が限られたことでむしろ先入観なく臨めたことがうまく化学反応したデビュー戦快走劇ともいえようか。だが、そのためには媒介として“いいクルマ”が必要だ。それを用意するのに貢献したのが、もうひとつのチーム新要素、笠井エンジニアということになる。

 コバライネンがこう語った。「我々は(最近)フロントのダウンフォースを失っていた面があったが、今回マシンがいい動きをしてくれた。カサイさんたちがいい仕事をしたね」。

 実は笠井エンジニアは昨季まで、サードで田中エンジニアをデータエンジニアの立場からサポートしていた。今季のデータエンジニアは松田久氏の担当となったので、今回の緊急人事は笠井エンジニアにとっては短期離脱を挟んでの復帰、そして松田エンジニアとの新コンビ結成という格好になるが、チャンピオンになった一昨年(マシンは異なる)のことを含めて笠井エンジニアはチームのいい時の状況を知っている。田中エンジニア移籍のフォロー役としてこれ以上の適任者はいないだろう。

 また、笠井エンジニアは昨季からスーパーフォーミュラのKCMGで既に可夢偉とコンビを組んでいる間柄だ。今回の緊急人事には、笠井エンジニアが昨季までサードにいたことはもちろん、スーパーフォーミュラでの可夢偉との好連携も影響しているだろうと推測できる。

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