Ryuji Hirano / AUTOSPORTweb

 終わってみれば8位。ディフェンディングチャンピオンであるグッドスマイル 初音ミク AMGにとってはポイントこそ獲得できたが、実際は四輪交換を行えばもっと上位にいけたはずだ。

「もしタイヤを替えていたら18号車は前。たぶん96号車も前。25号車、61号車までは前にいっていたはず。その段階で5位だった。そこから上はなかったと思う。タイヤを替えていても抜けなかったと思う」と谷口は言う。

 ちなみに、その横にいたGOODSMILE RACING&Team UKYOの安藝貴範代表は「抜けなかったのは谷口さんが体現していたと思う」と添えた。

「タイヤを替えた瞬間に、今回の勝ちは狙わないということ。いわゆる『置きにいく』レースになっていた。オレたちは勝負をしにいった。厳しいのは分かっているけど、あとはオレがどのくらい堪えられるのかだった」と谷口。

「それで“谷口渋滞”が始まって、RC Fにいかれた。そうしたらあとは忘れて、コイツはいかせない……またいかれました、もう次! とずっとやっていた。決して心折れず、すぐ切り替えて。とにかく前を追うというより、うしろを抑えることを考えていた」

 そして、河野高男エンジニアは「勝負に出たというだけ。結果は結果で失敗だったけど、仕方ない」と振り返る。

「18号車はいちばん怒っていると思うけど、汚いブロックをしたわけでもないし、ギリギリのレースをやっていたと思う。面白くさせただけで、まわりから見たら『アホじゃねえ?』と思われるかもしれないけど、ぜんぶタラレバになっちゃうから」

「ウチは勝負していくしかなかった。あの状況だと無交換で出るしかなかったからね。もちろん鈴鹿以外に他に勝てるところがあまりないし、もしかしたら勝てるという夢を追っかけながらね」

「褒めてあげたいのは、谷口があそこまで頑張ったこと。作戦はミスだったかもしれないけど」

 チャンピオンチームが勝利のために採ったギャンブルは、失敗に終わった。また、展開のあやでUPGARAGE 86 MCの今季2勝目は消えた。そして一方で、成長著しいHOPPY 86 MCの坪井翔の冷静沈着なオーバーテイクも見られた。K-tunes RC F GT3の初勝利も生まれた。

 グッドスマイル 初音ミク AMGのギャンブルが生んだドラマは数多かった。車種、タイヤ、ドライバー。すべての違いがあるからGT300は面白い。今回の鈴鹿はそれを感じさせてくれたレースだった。

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