Tomoyuki Mizuno/autosport web

 もうひとつ、今回の富士のGT500クラスの戦いで注目されるのが、シーズン2基目のエンジンの投入状況とそのパフォーマンスだ。搬入日の段階ではまだ3メーカーすべての車両のエンジンが把握できてはいないが、どうやらレクサス陣営がシーズン2基目のエンジンを投入、ホンダ陣営は1基目と2基目がチームによって混在しているようで、ニッサン陣営は1基目のままのようだが、まだ定かな情報ではない。

 ただ、もしそれが事実ならば、3メーカーがそれぞれシーズンを見据えたエンジン投入戦略が異なっていることになる。プレチャンバー(エンジン副室での燃焼)の導入に湧いた今シーズンのエンジンウォーズのゆくえがどうのような結末になるのか、この富士戦が大きなターニングポイントになるのかもしれない。

 GT500クラスの決勝500マイル(800km)のレース戦略は、基本的には4ピット/5スティント。ピット作業のスピードだけでなく、セーフティカーの導入などでイレギュラーとなった際のピットストップ戦略、そしてどちらのドライバーが3スティントを担当するのかなどなど、チームの判断、総合力も大きな見どころになる。

 優勝争いは、普通に考えるならば36号車au TOM’S LC500が中心になる。前回のタイ戦でも優勝候補として39号車DENSO KOBELCO SARD LC500とトップ争いをしながら、ファイナルラップでまさかのガス欠。10位完走扱いで1ポイントを稼いだだけで、ほとんタイ戦と同じウエイトハンデで今回の富士500マイルに臨めることから、大本命といってもいい存在だ。

 そのauに続くかたちで、3号車CRAFTSPORTS MOTUL GT-R、12号車カルソニック IMPUL GT-Rが優勝候補の一角をうかがう。今シーズン第2戦の富士500kmで23号車MOTUL AUTECH GT-Rが優勝したように、GT-Rと富士の相性は良く、3号車と12号車は大きなチャンスとなる。

 一方、第2戦で大きなトラブルに見舞われてしまったのが、ヨコハマタイヤ陣営。3台ともにタイヤトラブルが発生してしまい、緊急ピットを余儀なくされるなど3台とも残念な結果に終わってしまった。また、第2戦は予選日が濃霧の悪天候で走行できなかった経緯も大きく影響して、走行データが少ないホンダ陣営が大苦戦する結果となったが、この第5戦でどのように巻き返すことができるのか。ホンダ系チームの対応力が試されることになる。

 ヨコハマタイヤ勢、NSX陣営にはウエイトハンデが軽いクルマが多く、そのアドバンテージを長いレース距離で活かすことができれば、昨年の鈴鹿1000kmのEpson Modulo NSX-GTのように圧勝する可能性もある。酷暑のなかで行われる初めてのスーパーGT富士500マイルレースは、とにかく見どころの多い内容になりそうだ。

富士と相性が良いGT-Rとミシュランタイヤ。CRAFTSPORTS MOTUL GT-Rは優勝候補の一角

本日のレースクイーン

引地裕美ひきちゆうみ
2025年 / スーパーフォーミュラ
Mobil1レーシングサポーターズ2025
  • auto sport ch by autosport web

    RA272とMP4/5の生音はマニア垂涎。ホンダF1オートサロン特別イベントの舞台裏に完全密着

    RA272とMP4/5の生音はマニア垂涎。ホンダF1オートサロン特別イベントの舞台裏に完全密着

  • auto sport

    auto sport 2025年5月号 No.1607

    スーパーGT非公式ガイドブック
    GT500/GT300全チーム&ドライバーガイド

  • asweb shop

    オラクル レッドブル レーシング NewEra 9SEVENTY マックス・フェルスタッペン 日本GP 限定 キャップ 2025

    10,560円