最後はスーパーGT300クラス、Hitotsuyama Audi R8 LMSのエントラント代表、一ツ山亮次さんに伺いました。
中継映像を見ているだけでは、リタイアの状況がまったく分かりませんでした。いったい何が起きていたんでしょうか?
「GT500のカルソニックとフォーラムエンジニアリングがストレート上でバトルをしていました。ちょうど我々が1コーナーに進入しようとしたときに、フォーラムエンジニアリングが(カルソニックとの接触で)アウト側に飛び出しました。そこでは接触はありませんでした」

「しかし、その後、(接触で)カルソニックが体勢を崩してしまい、我々の(マシンの)右脇腹あたりに突っ込んできたんです。接触直後は2~3台に抜かれたくらいでコースに戻れましたけど、ドライバーからの無線でタイヤを痛めてしまったことがわかったので緊急ピットインさせました」
「緊急でしたけど、ルーティンの作業も行ってしまおうとしたんですが、(接触の)衝撃が強かったのでギヤボックスを冷やすダクトが壊れていたし、エアジャッキも衝撃でずれていて、ピットアウトしようとした時にエアジャッキが降りなかったんです」
「何度か試してもダメだったので1回ピットに入れてコースに出したんですけど、やっぱりダクトが壊れていて、4速ギヤが百何十度という温度まで上がってしまっていたので、終わり(リタイア)にしましょうと」
損害額は……。
「まだはっきりはわからないんですけど、約120万円程。ダメージ自体はマシンの奥深くまでは広がっていなかったので、そこまで大きくはかかりませんでした」
「サイドブレードと中のダクト類、それからサイドステップとかもカーボンの補修でいけたので大丈夫でした。エアジャッキはエアジャッキ自体じゃないんですが、そこの配管を変えたくらいです」
「タイでリタイアした直後にクルマをある程度全部バラして、ダメな部分は事前に発注しておき、日本に戻って来た時には交換用のパーツがすべて揃っている状態にしておいたんです」
「そこからメカニックが2人がかりで作業して、3日で綺麗に治ってました。今回はもう大丈夫なはず。昨日はチームの全員20人でお祓いも行きました」
チーム全員でのお祓いは団結力の強さの証かも。そしてタイで壊れたサイドブレードはリチャード・ライアン選手が持って帰って飾るそうです☆