Tomoyuki Mizuno / autosport web

 ライバル陣営としても、そのセクター3の速さを認めつつも、MOTUL GT-Rの直線での速さも指摘している。TRDの岡見崇弘エンジニアが話す。

「23号車は速いですね。セクター3が速いのはタイヤの影響が大きいのだと思いますけど、ストレートでも速い。同じ燃リスのサイズで比較しても、4km/hくらい速いです」と岡見氏。

 レクサス陣営は今回、全車シーズン2基目のニューエンジンを投入。「いろいろタマは入れてきました。高回転側の出力も上がっていますが、それよりも低中速域の出力が上がっているかなという形で持ち込んでいるんですけど、この富士でいうとウエイトハンデの軽いGT-Rと比べるとストレートスピードをもうちょっと伸びるように高回転側の出力を上げられる仕様が入れられれば、もうちょっと良い結果になったかなという感触はあります」と岡見氏。

 一方のGT-Rはこの富士まではシーズン1基目のエンジンを使用し、次戦SUGOで2基目を投入する予定だ。

 シーズン1基目のエンジンのままのGT-R陣営だが、逆にエンジン面に関してのメリットもあるようだ。「今回のレースまでなので、ここでエンジンを使い切るということで今まで信頼性の面で温存してきましたが、わずかですがパフォーマンスを上げられている部分はあります。それでもセクター1のあのタイムですが(苦笑)」とニスモ鈴木監督。

 少しのエンジンパフォーマンスアップ、そしてミシュランタイヤとGT-Rと富士の相性、そしてもちろん、松田次生とロニー・クインタレッリの富士での強さが噛み合ったことで、ウエイトハンデと燃リスを克服する速さを見せることができたと言えそうだ。

 ただ、予選の一発と、特に今回のレースの500マイル(800km)のロングディスタンスではそのまま比較はできなさそうだ。

「明日の決勝に向けては、ブレーキよりもタイヤが重要だと思っています。タイヤをいかにマネジメントするか。明日は今日よりもピークの温度はおそらく高くなる予報ですし、レースの始まりと終わりで気温差がかなりありますので、そこは前半、後半とトータルに考えないといけないと思っています。今日は、ブリヂストンさんがあまり合っていなかったような印象がありますので、明日は決して楽な戦いではないと思っています。前半と後半でうまくまとめられたチームが勝つのではないかと思っています」と鈴木監督。

 auの関口も「明日の路温が今日以上に上がるようだったら、向こうがタレて、もしかしたらウチにいいことがあるかもしれない。ウチは路温が高くなっても自信はあります。ですので、明日が暑くなってくれたら展開が変わるかもしれないですけど、今日と同じ気温/路温だと、今日と同じ展開で厳しいですね。明日は作戦もなにもないですね。全力で走りきって、それで優勝できなかったら仕方ないです」と決勝に向けての意気込みを語る。

 決勝は13時30分スタートで、レース終了は18時を過ぎる長丁場。路面温度で見れば、今日の予選日でも20度以上の差がある。基本的な戦略である4ストップ/5スティントの作戦のなかで、いかにその時点でのコンディションに合ったタイヤとセットアップを選ぶことができるのか。

 今回の予選はニッサン陣営、特にMOTUL GT-Rの速さが際立つ結果になったが、予選の展開とは打って変わって、明日はマシンのパフォーマンス以上に、レース運用面、チームの総合力が勝敗を分けることになるのかもしれない。

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