実戦デビューから4年で着実に進化を続け、ドライバーからも年々速さが増しているとのコメントが出ているHOPPY 86だが、チームの監督を務めながらエンジニアとしても戦っている土屋武士監督は「今の僕たちの知識では先が見えないところまで来ている」と“壁”にぶつかっていることを明かした。
「セットアップでほんの少しは変わりますけど、今の自分たちの知識ではこれ以上のネタがないので、もっと勉強しないとですね。ちょっと壁にぶつかってます」
「例えば今はデータロガーを使っていないですけど、データロガーをつけてとか、自動車工学的な部分をもっと深く勉強したりとか。まずは自分でクルマを設計できるようにならないと。それくらいの知見をもたないと、この先はないだろうなという壁を感じてます。エンジニア的に、ですけどね」
「もちろんレースは速さだけで競うものではないので、それ以外の部分でやれることはまだまだありますけど、(クルマの面で)これ以上のことをやるのは今の自分のレベルでは無理だなというのが正直な印象です」
「次のステップ、(つちやエンジニアリングとして目指す)GT500という目標に行くためにも、自分たちのレベルを上げるための時間とお金を作らないといけない。誰でもぶつかる壁ですよね。学生も塾に行くにしても参考書を買うにしても、お金と時間が必要じゃないですか。それと同じです」
これまでマザーシャシーユーザーのなかではつちやエンジニアリングが頭ひとつ抜き出ていた印象が強いが、今季はTEAM UPGARAGEのUPGARAGE 86 MCが第1戦岡山で優勝を飾るなど、マザーシャシー全体のレベルが高まっている。
またGT3勢もセットアップの熟成が進んでおり、2018年のHOPPY 86は過去シーズンのように圧倒的とも言える速さを出し切れていない印象もある。
ただ、土屋監督がぶつかっているという壁を乗り越えた時、HOPPY 86がさらに進化することは間違いない。チームが掲げているGT500ステップアップに向け、その壁をどう乗り越えていくだろうか。
ちなみに、GT300マザーシャシーは市販されているトヨタ86のカウルを使用しているマシンということで、少し気になるのは市販車と共通している部品がどれだけあるのかということ。
土屋監督によれば、HOPPY 86の場合「ドアノブとライト、あとはエンブレムだけ」といい、それ以外は完全なレーシングマシンに仕上げられているとのこと。サーキットに足を運んだ際は、これら市販車共通パーツもお見逃しなく。


