更新日: 2016.09.01 11:20
高効率だけど「燃費」は厳しい!? 鈴鹿5回ピット義務付けの裏側
先週末の鈴鹿1000kmは、最初から最後まで全開。稀に見る1000kmスプリントレースとなりました。その要因は5回のピットが義務付けられたから。昨年までは4回ピットがOKで戦略に幅があって、5回ピットで全開の“うさぎ”か、4回ピットエコドライブの“カメ”か、という戦いが耐久らしさを演出しておりました。
なのになぜ5回ピット義務付けになったのか?
それはGT500における激しいパワー競争が影響しています。14年から導入された2リッター直4直噴ターボNREエンジンには、燃料リストリクターが導入され、ある一定量、95kg/Lを超えると燃料が制限される仕組みとなっています。
裏を返せばその制限された燃料をうまく燃やすことができれば空気は無制限。熱効率は高まり、パワーも上がるということになります。熱効率の追求こそが自動車メーカーの大命題なので、それとレースの技術開発の接点を設けるためのアイデアでした。
その結果、3シーズン目も中盤にさしかかり、当初500ps後半と言われていたピークパワーは600psを軽々超え、燃料制限が厳しくなった今シーズンでも600ps後半まで達しているようです。
1単位パワーに対してどれだけ燃料を使ったかという視点で燃料消費率をみるとどんどん数値は下がり効率は高まっているのですが、単純な距離に対してどれだけ燃料を使ったかという一般的燃費尺度だと、パワーアップが飛躍的なだけに悪化しているのは事実で、富士500km上位の燃費を単純計算した推定だと1.82~1.91km/Lという数値になりました。
そして鈴鹿の話に戻ります。1000kmを4回の給油で走るということは満タン100Lでスタートすると、500Lの燃料を使うことになります。つまりリッター2km以上走らないと途中でガス欠してしまいます。
4回ピットだと現状のGT500のパワーと燃費の関係からすると、あまりに厳しい燃費レースになってしまう、あるいはセーフティーカー狙いのギャンブルが成立してしまうので、それではお客さんにとっても面白くないだろうということで、GTAと各メーカーが話し合い5回ピット義務付けにしたのでしょう。
ということで、そのパワー競争の裏側を徹底取材したスーパーGTファイル・バージョン2を読んでエンジンのことを知ると、もっとGT500の戦いが楽しめるはずです。