一貴のコメントには、若干ピックアップを拾ったような話も出てきていたが、ライバルとのペース差、特にNSX勢との差を見ると、それほど影響があった様子は見られない。他のレクサス系チームのエンジニアに話を聞いても「すでに何年も前にピックアップの問題は解決している」ということで、それがオートポリス決勝でのレクサスの強さを支えているようだ。
トムス勢に続いて、殊勲の3位表彰台を獲得したのは、WedsSport ADVAN LC500。こちらは今回、スタート前から2ピット作戦を計画していた。15周目という早いタイミングで1回目のピットインをした後、抜群のタイミングで導入されたセーフティーカーにも助けられ、2回目のピット作業を終えてコースに戻ると3番手まで浮上している。
今回、そうした作戦を採ったのはどうしてだったのか。WedsSport BANDOHの林寛之エンジニアは言う。
「ちょっとタイヤのタレに心配があったので、そのまま1ピットでいくとレースにならないかなと。なので、20分間のウォームアップで、燃料が軽い時の状態を見ました。その結果、2ピットを決めました。前とのギャップを見てですが、最初のピットアウト後、クリーンエアで走るために、トップよりも前でコースに戻りたかった。だから早目にしようと、最初から15周と決めていました」
「真ん中のスティントは、クリーンエアのなかで走ることができていたので、少し我慢して伸ばしましたね。1回目のピットを終えた時、Epson Modulo NSX-GTと40秒近く離れていて、その分頑張って詰めなくちゃいけないところ、セーフティカーのおかげで(ギャップを)なくしてもらったので、それはすごく助かりましたね」
「もちろん、セーフティカーが入るのではという予想もあって、『SCが出たらお得でしょ』という思いもありましたけど。とにかく運良く予想どおりに進んだ感じです」
4位に入ったZENT CERUMO LC500は、予選Q2のアタックタイミングが悪かった上、アタック中の他車を避けたためにタイムを伸ばせず8番手からスタート。そのため、決勝では前を走るNSX勢を攻略しなければならず、これがタイムロスになってしまった。
また、ピットアウト後に一旦前に行かれたARTA NSX-GTはすぐに抜き返したが、KEIHIN NSX-GTの攻略にはある程度の周回を要した。そのため、WedsSportを追い切れなかった側面もあったようだ。
それでも、「コースに出た時から、クルマのバランスはよかったし、ペースには手応えがあった」と石浦宏明。最終戦もてぎに向けては明るい材料が見つかったようだ。
■“総崩れ”のNSX陣営。「単独だとスイスイいくけど、ラインを外すと……」
