更新日: 2018.11.09 20:44
いよいよスーパーGT最終決戦。RAYBRIG山本尚貴がダブルタイトル獲得へ向け「意識せずにはいられない」
オートポリスではトムスチームのチームオーダー騒動が起きたが、チーム側は否定。チームオーダー自体はスーパーGTの規定違反ではないものの、ペナルティ対象となる可能性があり、どのチーム、ドライバーもこの話題に関しては口が重くなる。
それでもGT500クラスはメーカー同士の戦いであることが、このカテゴリーの魅力のひとつであることは間違いない。ホンダはメーカーオーダーを出さないことを明言しているが、山本はメーカーとしてタイトルを獲りに行くというレクサスの姿勢にも共感する部分があるという。
「それがGTの戦い方というか、メーカーも勝負をしているわけですし、チャンピオンを獲るためにルールの範囲内でなりふり構わずチャンピオンを獲るという気持ちは、何よりも大事だと思っています」
「周りからどう言われようが、最後にチャンピオンを獲ったものが勝ち。その気持ちと考えがあるからこそ、近年、レクサスがタイトルをたくさん獲得してきた所以があるわけですし、これまでのホンダが足りない部分だと思っています」
「スーパーフォーミュラはドライバーの個人の要素が強い競技で、各チーム単位で頑張ればチャンピオンが獲れる。でも、スーパーGTとなると、ドライバー個々、チーム個々というよりもメーカーの争いが色濃く出るレースだと思うので、きれい事なんて言っていられない。チャンピオンを獲るためにすべての力を結集して、そのメーカーがチャンピオンを獲るという意識を前面に出していかないと獲れないと思います」
「ただ、あくまでもモータースポーツというスポーツなので、メーカー色とか変な駆け引きが出てしまうと見ているファンとしても気持ちのいいものではないと思う。そこは履き違えちゃいけないと思っていますし、僕は真っ向から勝負したいなと思っています」
搬入日の山本の話しぶりからは、自分のレースのことだけでなく、自分が参戦しているカテゴリーへの責任感、そして現在のモータースポーツのあり方を模索するホンダのエースドライバーとしての覚悟を感じる。いろいろ気負いすぎて悩む山本尚貴もまた、山本らしいとも言えるが、スーパーGT最終戦に向けて、どんな気持ちでレースに臨めそうか。
「今は楽しみな気持ちが強いですが、予選が終わって決勝が始まるまでは不安が強くなっていくでしょうね。僕はこれまでも緊張しないレースなんてひとつもなかった、かつてはその緊張とプレッシャーに押しつぶされてレースウイークをうまく過ごせなかったり、結果に結びつかなかったレースも多かった」
「でも、スーパーフォーミュラの最終戦もそうだったし、特に今年はプレッシャーとの付き合い方や、プレッシャーが掛かったからこそ生み出される集中力や、見えない力が存在することを感じ取れたシーズンでもあった。今季最後のレースも、うまくレース結果に結びつくように気持ちのコントロールをしたいなと思っています」
スーパーフォーミュラで2013年以来となる2度目のチャンピオンの称号は、ドライバーとして、人間として、山本にさらなる自信を植え付けたのかもしれない。
「それもやっぱり、フォーミュラでタイトルを獲らせてもらえたからこそ、得られたものだと思います。獲らないと分からないこともあったので、タイトルを獲ってからここに臨めたのは大きいと思っています」
スーパーフォーミュラのタイトルを獲得したばかりの山本の相手は、昨年のスーパーGTチャンピオン。2年連続チャンピオンを目指すKeePer TOM’S LC500とRAYBRIG NSX-GTのタイトル争いは、プレッシャーとの戦い、ドライバーの意地、そしてメーカーの威信と、さまざまな要素と感情が交錯する戦いとなる。