更新日: 2018.11.11 11:06
ノーハンデのアタック合戦で見えた3メーカーの速さ。予選と決勝で入れ替わる勢力図とタイトル争いのポイント《GT500予選あと読み》
その中でも、今回のノーウエイトのもてぎ戦では、今季からGT500にステップアップしたCRAFTSPORTSがGT-R陣営トップの8番手となった。Q2を担当した本山哲が振り返る。
「チームとしてここ数戦、原因不明の不調になっていたけど、チームがいろいろクルマを直そうとしてくれて、今回トライしてくれた部分がいい方向にいった。これまではアンダーステアからオーバーステアへ、全体的にステアバランスの変化が大きかったのが改善した。ドライバーとしてはニュートラルなステア特性の、きちんと攻めやすいクルマになった。現状のベストだと思う」と本山。
GT-Rの今シーズンについても「ミシュランがのタイヤがマッチしなかった影響がニッサン&ミシュラン勢としてはあるけど、他メーカーのパフォーマンスアップがある。ライバルメーカーのパフォーマンスアップ、エンジンパワーとダウンフォースアップの部分の差が大きくなっている。特に予選では、QFモードでのパワー差は感じるところがある」と本山。
予選のホンダの速さに関しては、レクサス、そしてニッサンの両メーカーはともに素直にその速さを認める一方、レースに関してはまだまだホンダと互角に戦える手応えをもっている。
「明日も『実際には厳しいのかな』と思うけど、今日の予選のウォームアップの周回数をみても、ミシュランはライバルよりもレースで強いと思う」と話すのは本山。
スーパーフォーミュラをみても、ホンダエンジン勢の今季の予選の速さは特徴的だ。現時点ではエンジン面でホンダ陣営が一歩先に進んでいるとライバル陣営は見ており、その一方で、レースでのタイヤと路面のマッチング、セットアップや戦略面でレクサス、ニッサン陣営にアドバンテージがあるようで、予選と決勝で、メーカーごとにマシン特性、戦い方の方向性が広がっているのが今年の3メーカーのマシンの特徴でもあった。
最終戦の決勝は、マシンの速さで優位に立つNSXのタイヤマネジメントがポイントになりそうだ。前戦のオートポリスではホンダのブリヂストン勢は予選でソフト目のタイヤを選択。レクサス陣営はミディアム傾向だったため、NSX+ブリヂストン陣営は決勝の第1スティントではピックアップの問題とタレが大きくてペースダウン。タイヤマネジメントに苦労してレクサス陣営の逆襲を招いた。今回のもてぎの予選ではNSX+ブリヂストン陣営はミディアム傾向を選択し、レクサス+ブリヂストン陣営と同等のコンパウンド傾向とのことから、オートポリスほどの勢力転換はなさなそうな見込みだ。
また、シーズン終盤に不振に喘いだニッサンGT-R陣営だが、今回のもてぎではいくつかトラブルもあったようだが、その中でもMOTUL AUTECH GT-R、CRAFTSPORTS MOTUL GT-Rのミシュラン陣営の雰囲気はオートポリスよりも良さそうだ。予選よりも決勝に向けたタイヤ選択をしているとのことで、今回は路面ともマッチングに手応えを感じており、レースでの巻き返しに期待が高まる。
RAYBRIG NSX-GTとKeePer TOM’S LC500の実質一騎打ちのタイトル争いも、現在の状況ではRAYBRIGが優勢と言わざるを得ない。天候も安定していることから、あとはトラブルやアクシデント、そして周回遅れのGT300とのトラフィックやピットストップ作業、そして、同メーカー内でのコース上の協力体制がレースの鍵を握ることになりそうだ。