2シーズンのGT300クラス参戦では、上述のとおりまったく異なるクルマに乗るという経験をした坪井だが、それを経て今年はGT500クラスにフル参戦する。GT500参戦というひとつの目標を叶えた彼に、現在の心境を聞いた。
「最初は実感がわかなかったです。2018年に(第2戦富士で)スポット参戦して2位になりましたが、GT500クラスでのレースはその1回だけだったので、正直あまりレースをした感じがなかったんです」

「だけどいざレギュラーシートを獲得してからは、セパンテストで走った時にいちばん実感がわきました。話だけだとどうしてもピンとこなかったんですけど、レギュラードライバーとして名前が入ったクルマを見て、『レギュラーなんだな』と。ようやく目標にしていたところに来れたので、ひとつ夢が叶ったというような思いです」
「ただプロとしてはやっとスタートラインに立てたというところで、ここからシビアな戦いが待っていると思います。スーパーフォーミュラでもGT500でも、いろいろなカテゴリーでチャンピオンを獲ってきた人たちがいますし、F1チャンピオンもいるくらいなので、すごくシビアな世界に入ってきたなと思います。ただ素直に嬉しかったですし、目標にしてきたぶん嬉しさが大きかったです」
ちなみに、2018年にスポット参戦をした際はLEXUS TEAM SARDからの参戦だった。そのまますんなりと同じチームから参戦すれば、チームへの慣れもあった。ファンの皆さんのなかには、LEXUS TEAM WedsSport BANDOHからのフル参戦を意外に思う方も多いかもしれない。ただ坪井自身にとっては、LEXUS TEAM WedsSport BANDOHからフル参戦することには大きなメリットがある。
「(レクサス勢の中で)ヨコハマタイヤを使うクルマはLEXUS TEAM WedsSport BANDOHしかいないので、タイヤテストが多くてクルマに乗れる時間が圧倒的に多いし、ルーキーの僕にとってはいろいろな勉強ができるチームだと思います」
「2018年もGT300でヨコハマを履いているので、ある意味、ここに収まるのかなというイメージでした。他のレクサス勢はブリヂストンタイヤなので直接的な結果の比較は難しいですが、圧倒的にタイヤテストの数が多いし、ドライバーとしての技量、引き出しは他のドライバーより増えると思います。これは絶対に今後に活きてくるし、1年目でその経験ができるというのは嬉しいです」
すでに坪井は、テストを通じてLEXUS TEAM WedsSport BANDOHのメンバーと仕事もこなした。「チームの雰囲気は、まわりが思っているとおりかなと思います(笑)。やるときはやりますけど、スイッチオフの時はいい意味でふざけるというか。アットホームで楽しいチームです」
その坪井とタッグを組むのは、このチームで4年目のシーズンを迎える国本雄資だ。お互いの年齢も5歳差と近く、接点も多いのかと思われたが、意外なことに坪井と国本にはこれまであまり関わりがなかったのだという。

「昔から知っているけれど、実は同じカテゴリーのレースに出たことがほとんどないんです。年が近いですが、直接的な関わりがありませんでした。どちらかというと、自分が(FTRS時代に)生徒だったときに、講師だった石浦(宏明)さんのように年が離れている人たちと接することの方が多かったです」
「国本選手とは近い段階でステップアップしていたけど、挨拶程度くらいしか関わりがなかったので、最初は『どういう人なのかな?』というところから始まりました」
「でもいろいろなことを教えてくれますし、ふざけて絡んでくることもあるので、年が近いぶんやりやすさがあるのかなと思います」