変わって中段からジャンプアップを見せたのが富士マイスターの立川祐路がステアリングを握る38号車ZENT CERUMO LC500。7番グリッドからスタートした38号車は4周目には4番手、6周目にはカルソニック GT-Rをかわして3番手へ、そして9周目にはダンロップコーナーでKeePer LC500も仕留めて2番手へと浮上してくる。
依然として雨脚は弱まることを知らず、そればかりかコースサイドで撮影するカメラマンが恐怖を感じるほど間近な雷鳴を伴って雨量が増す方向となるなか、立川はついにトップを走る23号車MOTUL AUTECH GT-Rの背後にまで迫り、GT300クラスのバックマーカーが絡んだ13周目の1コーナーでインを突き、見事に首位浮上を果たす。
しかし、ここで大雨によるトラックコンディションを案じたレースコントロールから再びのSC導入がアナウンスされ、ZENT立川の勢いはここで一旦そがれることに。15周終了時点にホームストレート上でクラス別のリグループを行ったところで、ARTA NSX-GTが最終コーナーでスピンを喫してふたつ順位を下げ、GT300マシンでもアクシデントがあり、ここで赤旗中断の決定が下された。
約30分の中断を経て雨が上がったところで、15時33分にSCスタートでレースは再開。このリスタートで後続を大きく引き離した立川に対し、3番手KeePer LC500のキャシディが先ほどの再現を演じるかのように23号車をピタリとマークすると、1コーナー立ち上がりで鮮やかなパッシング。
さらに19周目の最終コーナーから車速を乗せた塚越広大のKEIHIN NSX-GTがカルソニック、MOTULと2台のGT-Rをホームストレートでまとめてオーバーテイクし、1コーナーまでに3番手に浮上する。
23周目にはSC中のスピンによりARTA NSX-GTがドライブスルーを消化する間、24周目のGRスープラコーナーの立ち上がりでは首位争いが激化し、キャシディが立川を捕まえ再びのトップランを取り戻す。
その背後ではついにミシュランタイヤのウォームアップを終えたクインタレッリがペースを上げ、26周目のダンロップコーナー立ち上がりから13コーナーまでのトラクション競争でKEIHIN NSX-GTをかわし3番手にカムバックしてくる。
その後も1分40秒台前半から39秒台と、先行車より1秒近く速いラップを重ねたMOTUL AUTECH GT-Rは、30周目にZENT LC500もかわして2番手へ。続く30周目には最終コーナー手前でKeePerに追いつくと、そのままわけもなく前へ出ることに成功し、そのまま1分38秒540のファステストを記録するなど、路面雨量の減少に伴って、めまぐるしい攻防劇が繰り広げられる。
40周目を目前に最初のピットへと向かったのは、後方からポジションを上げてきたCRAFTSPORT MOTUL GT-Rで、38周終了時点でセカンドスティントのフレデリック・マコウィッキへ交代するともにスリックタイヤへとスイッチ。
すると全車なだれを打ったようにピットへと向かい、40周終了時点で38号車ZENT、37号車KeePer、12号車カルソニックがスリックへとチェンジし、ZENTは48秒5の制止時間でピットアウト。翌周に首位23号車MOTUL GT-Rが同じくドライバー交代を行うも、その滞留時間は53秒1とわずかにレクサスのライバルより遅れを取ることに。それでもミシュランタイヤのウォームアップ性能が良く、アウトラップを終えてZENTの前を走行する。
直後の44周目には1コーナーでKeePer TOM’S LC500平川亮とカルソニック IMPUL GT-Rのジェームス・ロシターが交錯し、両車スピンを喫するアクシデントも発生。さらにコカ・コーラ・コーナー立ち上がりではKEIHINがGT300クラスの車両と絡んでコースオフするなど、スリックへのチェンジに伴い多くの混乱が巻き起こる。
これでイレギュラーピットを強いられた平川は48周目に8.1秒の作業で左フロントのみを交換。これで最後尾までポジションを下げてしまった。