すると翌ラップには4番手のau TOM’S中嶋一貴も続き、16周目にはDENSO KOBELCO SARD LC500のヘイキ・コバライネンもオーバーテイクを決め、タイヤチョイスか路面状況か、はたまたいつもの問題(ピックアップ)か。苦しむ伊沢は5番手に後退してしまう。
20周を越えた頃、1コーナー付近にはついに雨粒が落ち始め、各ドライバーがワイパーを作動させる状況へと急変。するとそのコンディションに乗じて7番手のZENT CERUMO LC500立川祐路が仕掛け、ウエットの1コーナーでKeePer TOM’S LC500のニック・キャシディをスリック勝負でパスしていく。
そのまま2コーナーに向けCRAFTSPORT MOTUL GT-Rにも挑んだ立川だったが、ここでキャシディが動物的バトルセンスを披露し、2台をまとめて抜き去り6番手を手にすると、続く24周目には同じく濡れたセクター1で伊沢も捕まえ、性能調整2ランクダウンのマシンでトップ5圏内に上がってくる。
雨は局所的にコースを濡らしたに留まりピットウインドウが近づいてくると、上位勢では30周目に37号車キャシディが先陣を切ってピットへ。36.1秒の静止時間で平川亮にスイッチしドライタイヤを装着してコースへと復帰。すると直後にホームストレートからセクター3にかけて降雨が強まり、滑りやすい路面への注意を喚起するオイルフラッグが出されるまでに。
その直後、大混乱が発生する。34周目にau TOM’S LC500がスリックタイヤを装着して37.8秒でピットアウトした頃、セクター2でGT300クラスの車両がコース上でストップ。それを見たGT500クラスの上位勢はチェンジオーバーのタイミングを待たずにSCの可能性を考慮し、35周目に続々とピットへと突入。
レクサス陣営では両脇のピットボックスに挟まれたZENT CERUMO LC500が切り返しのピットアウトとなり、先を急いだDENSO KOBELCO SARD LC500と危うく交錯する事態になり、その2台の背後でファストレーンに出た19号車WedsSport ADVAN LC500には、アンセーフリリースのGT300クラスが側面にヒットするように並びかけてくる。
同時にコース上ではさらに雨量増加でスピンを喫するマシンも現れたため、ここで2度目のSC導入が宣言される。結果的にステイアウトとなった上位3台、リアライズ、CRAFTSPORT、MOTUL AUTECHのGT-R勢、そしてピットアウトしてきた後続ものうちトムス以外のレクサス陣営はウエットタイヤを装着しているとみられ、SCピリオド中に水煙が上がるほどの増した雨量に対し、リスタート後のレインタイヤ交換でもピットレーンのさらなる混雑が予想された。
39周目のホームストレート上で両クラスの隊列が整理され、SC先導走行が再開される頃には雨自体は止んだものの、依然としてトラック上の水量は維持されたまま。30周目に37度まで上昇した路面温度もこのシャワーによって30度まで急降下し、41周目のリスタートで先頭のGT-Rが3台ともにピットへ。ここでニッサン勢はスリックタイヤをチョイス。
1コーナーでは後方でステイしていたカルソニックGT-Rがたまらずコースオフ。ドライバー交代を終えて実質トップだったKEIHINもまったくトラクションが掛からず、後方から迫ってきたレクサス勢にあっさりと捕まって5番手に後退してしまう。
GT300クラスも含めスリックタイヤで堪えようとしたマシンがスピンを喫し、43周目にこの日3度目のSCがコースイン。このピットレーン・クローズで、レインタイヤへのスイッチを必要とした23号車MOTUL GT-Rの松田次生はストレートでピットロードに向かって進路を変えるも、ピットへ戻ることができずにメインストレートに急きょラインを変える。