このカルソニックGT-R初ドライブで「バランス的に若干良くないところ」を見つけたという千代はチームにセッティングの変更を提案。チームは千代のコメントを受けてセット変更をすると、レギュラーの佐々木もマシンフィーリングが改善されたと好印象を得たという。
迎えた決勝では参加確認終了後にドライバーを変更したとして10秒のペナルティストップを与えられたが、直前のセット変更も功を奏し、第1スティントを担当した佐々木が粘りの走りで最後尾から着実にポジションを上げていく。
しかし、佐々木から後半スティントを任された千代にドライバー交代しようとピットインした際、チームインパルの隣、42番ピットを使うNILZZ Racingの植毛GO&FUN GT-Rが停車に失敗。そのためインパルは作業完了後にマシンをバックさせてピットアウトしなければならずタイムをロスしてしまう。

すると、この間に暫定トップだったリアライズコーポレーション ADVAN GT-Rに先行されて周回遅れとなると、直後に2度目のセーフティカーが導入されてしまった。
「もしバックする必要がなかったら、24号車(リアライズコーポレーション ADVAN GT-R)の前でコースに復帰できていたので、直後のセーフティカーで1周分、得していたはずです」と千代。
加えて、このセーフティカー明けのリスタートでは、雨で濡れた1コーナーへ履き慣れないブリヂストンタイヤの冷え切った新品スリックで飛び込まねばならずコースオフ。クラッシュは免れたものの、さらに大きく後退してしまう。
「路面は濡れた状態でタイヤも冷えていたので、かなり慎重にアクセルを踏んでいきました。しかし僕はブリヂストンタイヤのアウトラップパフォーマンスも知らないし、経験のない完全な新品タイヤだったので……ちょっとカッコ悪かったですね」
レース残り15周前後のタイミングではスリックタイヤからウエットタイヤへ履き替える緊急ピットインを行ったものの、その後は路面が急速にドライコンディションへ変化したことでタイヤがコンディションへマッチせず。それでも千代はわずか4周の走行のみで臨んだ2019年シーズン初のスーパーGTシリーズ戦、雨で混沌としたオートポリス戦でチームの12位完走に貢献した。
2019年のスーパーGT初レースを終えた千代は「ウエットでもドライでも、いいペースで走れるときもあって手応えを感じていただけに残念です。大樹も『クルマはすごく良くなりました』と言ってくれていた」とレースをふり返った。
「次のSUGO戦でチーム・インパルがいい結果を出せればいいですね。なにより(ジェームス)ロシター選手も今回決勝で乗りたかっただろうと思いますし、まずは彼の回復が一番です」
「それでも代役として、短い時間のなかでやるべき仕事はできたかなと。本当はもうちょっといいところを見せたかったなと思います。このフィールドで戦える手応えは充分に感じましたし、またチャレンジしたいという気持ちが強くなりました」
