Tomoyuki Mizuno / autosport web

 当然、リスタートのコントロールラインを越えるまでは前のマシンを抜くことはできず、ウエットタイヤを装着した38号車ZENT CERUMO LC500、19号車WedsSport ADVAN LC500、そして4番手走行のKEIHIN NSX-GTは数珠つなぎとなり、コントロールラインを越えてMOTUL MUGEN NSX-GTをオーバーテイクして行ったが、トップのDENSOと4番手KEIHINの間には約16秒のギャップが出来てしまっていた。

「あのギャップが一番、最後に効いたブローでしたね。そこからバゲットは最後は3秒差まで詰めたので、13秒くらいは縮めてくれましたが、あの時は焦りましたね。『あれっ!? 2番手以下が来ない』『(2番手が)ドライタイヤやん!』って」と、その時の心境を語る金石監督。

 だが、そこからKEIHINのバゲットはWedsSport、ZENTをオーバーテイクして2番手まで上がり、トップのDENSOを追い3秒差まで迫ったが、ここでチェッカー。波瀾万丈の決勝レースを2位で終えることになった。塚越広大が今回のレースを振り返る。

「後半、タイヤもどっちに行くのか難しいところで一度はスリックタイヤでコースに出たんですけど、早めに見切りを付けてレインに変えて、ただ、そのあとのセーフティカー明けで前を走るクルマがスリックで、トップの39号車だけ逃げてしまった。あれが僕らにとってはよくなかったですよね」

「ただ、そのトップに最後は3秒差まで追い上げられたというのも、バゲットの頑張りもあるし、クルマのパフォーマンスの良さもあったと思います。そう考えれば、いろいろなことがあったレースでもうれしかったなと思います。もちろん、ペース的にも展開的にも優勝できるレースだったと思いますけど、一時は表彰台圏外まで落ちたところから復活してこれたというところで、今回のレースとしては強いところを見せることができたと思っています」と塚越。

 一方、金石監督は「複雑です」とレース後の感想を述べる。

「今の気持ちは、複雑な心境です。みんな頑張ったし、嬉しいし、自分の反省もあるし、悔しい。あのドタバタのなかで2位を獲れたのはチーム力の証でもあるけど本当、複雑です」

 それでも、ウエイトハンデが比較的軽いとはいえ、ドライでもウエットでもマシンは常にトップクラスの速さを見せた。KEIHINの田坂泰啓エンジニアが手応えを話す。

「クルマはちゃんと走れば自信はあります。タイ戦の決勝日からセットアップを掴みはじめて、富士、SUGOのテストと調子が良くなってきましたので、次回は自信があります」と田坂エンジニア。次戦、第7戦SUGOはNSXの得意なサーキットであることから、今回の速さがあれば十分、連続表彰台獲得も見えてくる。

「ドライバーはふたりとも頑張ってくれたと思いますし、チームのメンバーもここまでよく耐えて、1位になりたかったですけど、今回の2位もステップを踏むための価値ある2位かなと思っています。SUGOの事前テストは2日ともトップタイムでしたし、その流れでこのオートポリスもクルマは調子よかったので、SUGOは勝ちます」と金石監督が話せば、「KEIHINの地元で毎回、たくさんの方が来てくれる。今回のレースを見てSUGO戦も盛り上がると思うので、今回勝てなかった分、SUGOで勝ってみんなの期待に応えるためにも、今回のようないい走りができるように頑張ります」と塚越。

 アクシデント、トラブルで低迷していたKEIHIN NSX-GTだが、今回の決勝日は力強かった。ポイントランキングも6位ARTA、7位RAYBRIG NSX-GT、8位KEIHINと接近しているだけに、次のSUGO戦はホンダ陣営内の戦いが面白い。

スーパーGT第6戦オートポリス決勝
天候の波乱に3度のセーフティカーが入る展開ながら2位表彰台を獲得したKEIHIN NSX-GT

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