■レーシングドライバー土屋武士は「一生辞めない(笑)」
2015年のスーパーGT復帰を通じて、土屋の狙いどおりに若手が育ち、『技術とスピリットの伝承・継承』というテーマのとおり活動が続いている。いま、松井は土屋だけが着けていた『侍』のロゴをレーシングスーツにつけ、土屋の望む“職人”のひとりとしてVivaC team TSUCHIYAのエースに育とうとしている。
では、今後土屋がレーシングカーをドライブするシーンは見られないのか。
「ドライバーは一生辞めない(笑)。GT降りると決めてから、いろんなレーシングカーに乗りたくてしょうがない。特にGAZOO Racingの活動はいろいろな貢献もできるから、レーシングドライバーとして携わっていたいよね」と土屋は、ドライバーとしての引退は否定した。
もちろん、先述のとおりスーパーGTの第3ドライバーとしての登録はするし、他のエンジニアの誰も真似ができない「走れるエンジニア」としてテストではVivaC 86 MCに乗るという。
「『あのチームはGT500をやっていないとおかしいよね』とか『日本のレーシングガレージと言えばつちやエンジニアリングでしょう』と言われるような“最強プライベーター”を復活させたいという思いについては、ある程度形になってきたと思ってる」と土屋。
「その後の第二章に進み、レーシングチームとして存続させ、環境を存続させるためには、自分が降りることが必要なこと。ドライブするのは楽しいし、いつまでも乗っていたいけど、自分がやるべきことをやらないと」
かつて自費でフォーミュラ・ニッポンに参戦し、トップカテゴリーへの道を切り拓き、プロとして活躍し、父親から継承するガレージの復活を成し遂げてきたレーシングドライバー・土屋武士の「新たなステージ」が始まろうとしている。
