NISMOの35号車ニッサンGT-RニスモGT500をドライブした松田次生は、スタート前に思わぬトラブルに見舞われてしまうことになった。フォーメーションラップに出ようとしたところで、プロペラシャフトが破損してしまったのだ。
GT500/DTMのプロペラシャフトはこのクラス1規定が生まれた当初から、共振などによって破損してしまうことが多く、難しいパーツだったひとつ。今回はふだん行わないスタート練習をこなしていたことから、その影響もゼロではなかったかもしれない。「木曜から走行していて、スタート練習などをやっていたときに、ひょっとすると負荷が溜まっていた可能性はあります」と次生。
ピットに牽引されていった後は、NISMOのスタッフが迅速な作業でシャフトを交換。17周遅れとはなってしまったが、コースに復帰することができた。ヨーロッパにはニッサンGT-Rのファンも多く、待ちわびたようにスタンドからは次生とGT-Rに拍手が送られる。
もちろん、10月6日は母国イタリアから家族やファンも来ているロニー・クインタレッリがレースを戦う。そのためにも次生は初めてとなるロングランをこなし、データを持ち帰った。「ラップタイムとしてはそれほど悪くなくて、タイヤ交換をしたあとは、1分32秒台のラップタイムには入っていたと思います。ただトップは1分31秒台のラップなので、考え方を変えないといけないかもしれませんね」と次生はレースを振り返った。
「今日走ることができて、ロングランもできましたが、“ここを変えれば”という部分もありました。それが当たるかは分かりませんが、ロニー選手に試してもらえたらと思います。明日の力になれるよう、データを分析していきたいと思います。僕よりいいレースができると期待しています」
今回のレースは、事前に予想されていた以上にハンコックタイヤへの合わせ込みが重要となった。木曜から土曜までの間に、ドライバーやエンジニアが口を揃えて「日本ではあり得ない」というセッティングをトライしている。また、ドライバーもハンコックタイヤに合わせた走り方が必要だという。
「ハンコックタイヤにまだ合わせ込めていない部分はありますが、それはセッティングでもドライビングでもあります。僕もホッケンハイムは初めてですし、もっともっとドライバーもクルマでも合わせ込めないと、DTMのチーム、ドライバーに勝つのは至難の業かもしれません」と次生。
「DRSとプッシュ・トゥ・パスは11月の富士ではありませんが、あれがなければ戦えると思っています。タイヤをいかに合わせ込むかが大事ですね。富士では負けたくないです。そして今の段階で、ホンダとレクサスの方が仕上がりが良いので、僕たちもしっかりと合わせ込みたいと思います」


