新型コロナの世界的な蔓延により、グローバル企業である自動車メーカーも苦境に立たされているが、何とかこの難局を乗り切ってほしい。そして、GT500を戦う3社にはこれまでどおりスーパーGTを支え続けてもらいたい。

 不幸中の幸いとも言えるのは、2020年がちょうど新車導入のタイミングだったことかもしれない。年次改良など細かな開発は継続されていくだろうがこれまで3年刻みで同じ車両が使われていたことを考えれば、少なくとも2022年までの向こう3年間は現在の車両を使えることになる。DTMとのコラボに暗雲が垂れ込めるいま、新たな指針や次の一手を考えるための時間的猶予は残されている。

 これまでそうしてきたように、この先もスーパーGTはレースの迫力や熱量など「興行としての価値」を下げることなく、よりいっそうのコストダウンを成し遂げ、プロモーションの充実もはかっていくだろう。

 そして、マーケティング主導で行われていたためにパドックの華やかさはあったものの、結果的に厳しい状況に追い込まれたDTMの反省を踏まえるならば、やはりスーパーGTでは研究開発の領域を維持していくことも欠かせない。

 とくに新型コロナによっていままで以上に苦しくなる各メーカーの参戦意義を考えるなら、それは環境技術にあてられるべきだろう。

 環境技術の代表例は“ハイブリッド”だが、WEC世界耐久選手権で採用されているようなストロング・ハイブリッドはコスト的に難しい。GT500で導入するならLMDhなどと同様にシステム自体はワンメイクとし、エネルギーマネジメントの領域で各社が技術競争できるシロを残しておく必要があるかもしれない。

 もしくは、愚直に内燃機関としての究極を目指すのも選択肢のひとつだろうか。たとえば、現在のGT500で採用されているNRE(2リッター直列4気筒ターボ)を、量産の世界において間違いなく次世代のスタンダードとなる“1.5リッター直列3気筒ターボ”に変えるのはどうか(これはBMWが量産分野で積極的に採用しているエンジンでもある)。

 いずれにしても、DTMの窮状を踏まえてスーパーGTも新たな指針を打ち出す必要がある。「さらなるコストダウン」と「プロモーションの充実」に加えて、3メーカーの参戦意義となる「環境技術の導入」をどう盛り込んでいくか──。新型コロナが国内レース界に深刻な打撃をおよぼすことは間違いない。だからこそ、その復活にはスーパーGTの力が不可欠。GTAおよび国内3社による次の一手に期待したい。

本日のレースクイーン

林れむはやしれむ
2025年 / スーパーGT
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