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投稿日: 2020.06.26 08:07
更新日: 2020.06.29 18:15

【秘蔵私的写真で振り返るGT進化の旅/特別編】ニスモの匠に学ぶGT-Rと牛の空力講座


スーパーGT | 【秘蔵私的写真で振り返るGT進化の旅/特別編】ニスモの匠に学ぶGT-Rと牛の空力講座

──GT-Rの話が出ましたが2020仕様のGT-RニスモGT500の空力概要を教えてください。

山本「2020車両は『安定した空力性能の発揮』をテーマに、マイルドな空力性能を持ったクルマに仕上げています。安定した空力性能のフォーミュラカーなどと比べるとGT500は空力に敏感です。したがって、2020年シーズンのGT-RニスモGT500はフォーミュラ的な安定した空力を目指してデザインしました」

2020年モデルのGT-RニスモGT500
2020年モデルのGT-RニスモGT500

──ラテラルダクト出口周辺などは他メーカーと比べると山本さんのデザインは攻撃的、男子の心をくすぐる、そんな印象を受けます。前段でコンピューター解析するという話がありましたがそもそもデザインの源流はどこから来るものなのでしょうか。

山本「心掛けているのは『速そうで、速いクルマ』。スタイリングに関しては過去のショーカーの仕事などで出会ってきた一流のカーデザイナーの方々からの知見、デザインの部分はF1や戦闘機などの機械ものはもちろん、ファッションや建築などあらゆる物の中の洗練されたデザインからそのセンスを吸収してレーシングカーデザインに反映しているつもりです」

「ただ、規則でどうにもならない年もあります。逆に規則の解釈で他にないデザインにできたりもします。2006年のGT500に参戦したフェアレディZのリヤ周りなどはその一例です。この時は他社のエンジニアに『こんなのアリなの・・・?』と言われました。デザインするという意味では生まれ変わったらレースではなくパリコレに関わりたいと思っていて、今度は童夢ではなくディオールにバイトで入り込もうと決めています(笑)」

2006年のGT500マシン、フェアレディZのリア周り
2006年のGT500マシン、フェアレディZのリア周り

──最後に読者に伝えたい事、注目ポイントなどがありましたらお願い致します。

山本「私達開発サイドからは、是非タイヤ開発を含めた技術開発競争の部分を楽しんでいただきたいと思います。スーパーGTはこれからも世界最速のGTです」

 GT500開発最前線を担う方のお話いかがだったでしょうか。かつて日本レース界の空力開発と言えばあるデザイナーは田宮のF1プラモデルを模倣し、またあるエンジニアはまだ風洞実験が叶わない時代、1/18(ルマンカー)ミニカーの4輪それぞれをキッチンメーターに乗せ前方から送風機で風を送り、自作のエアロパーツ(カナード追加等)をミニカーに装着してそれぞれの重量増減で空力開発をしたことがある、と言っていたことを思い出します。

 みなさまもぜひ、ご自宅でお子さんと一緒にミニカーで空力実験をしてみてください。そしてレースが再開されたらこの企画を思い出して頂き、お子さん達に『空力とは何ぞや』を語ってあげてください。

 かつて、山本さんから「すべての空力パーツの形状、位置、角度、大きさには意味があり、開発者の意図が込められている」と聞きました。2020年、富士スピードウェイにて開催されるスーパーGT開幕戦、テレビ画面に映し出されるマシンたちからそれらを推察する、そんな楽しみ方も良いのではないでしょうか。

<<プロフィール>>
山本義隆(やまもとよしたか)
学生時代からアルバイトで童夢に在籍、その後フリーランス。2001年から2006年、2011年から現在までニスモに所属。車両開発部 チーフエアロダイナミシスト。


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