更新日: 2020.07.19 21:55
KeePer TOM’Sがポール・トゥ・ウイン。GRスープラがトップ5独占&GT300でもデビューウインの快挙を達成【第1戦富士決勝】
一方、長らくGRスープラ36号車を抑え込んでいた2番手RAYBRIG NSX-GTがここで厳しくなり、23周目のコカコーラ・コーナーでau TOM’S GR Supraを前に出し、ついにポジションが入れ替わる。
やはりNSX-GT勢はグリップダウンが厳しい傾向かそれともタイヤのピックアップ(タイヤかすが取れずにグリップダウンを起こす現象)が起きたか、25周目には5番手争いを展開していたARTA NSX-GTとKEIHIN NSX-GTが同時にピットイン。陣営内対決でピットでの逆転を狙った両チームだが、ともにミスなく作業を終えて静止時間33.6秒の同タイムでコースに送り出す。
28周目には4番手走行中だった立川祐路が石浦宏明にバトンタッチ、翌ラップには2番手au TOM’S GR SupraやWAKO’S 4CR GR Supraなどが続々とピットに入ってくるなか、ときを同じくしてコース上でARTA NSX-GTをかわしていた塚越広大のKEIHIN NSX-GTが力なくスローダウン。2コーナーでマシンを止め、戦列を離れる事態に。
さらに首位KeePerや2番手RAYBRIGもルーティンを終えた32周目には、武藤英紀にスイッチしていたRed Bull MOTUL MUGEN NSX-GTがトラブルかアクシデントか、100Rで左リヤタイヤがバーストするような形になり、コースサイドでストップ。立て続けに2台のNSX-GTが姿を消してしまう。
30周を過ぎた時点で路面温度は41度を記録し、セカンドスティントに突入した上位勢はより緻密なタイヤマネジメントが求められる中、35周経過で36号車、37号車のGRスープラがワン・ツー体制を維持。そのトムス勢2台をRAYBRIG NSX-GT、ZENT GR Supra、そしてARTA NSX-GTが追う展開に。
しかし38周目突入時点のターン13でGT300車両が絡むアクシデントが発生し、この日2度目のSC導入がコールされ、2番手のチームメイトに対し25秒以上のリードを築いていたKeePer TOM’S GR Supra平川にとっては、そのマージンが帳消しとなる最大の試練が訪れる。
41周目にホームストレート上での隊列整理を行い、43周目突入時点で再びリスタートが切られると、平川が盤石のダッシュでポジションをキープ。後続もウィービングを見せながら、大きな順位変動なくレースが再開していく。
続く周回にはWAKO’S 4CR GR Supraの坪井翔がARTA NSX-GTをかわして5番手へ浮上し、自己ベストを記録して4番手をいく先輩、ZENT石浦の背中を追っていく。すると49周目の最終コーナーに狙いを定めた坪井は小回りにインベタのラインを選択し、ホームストレートをサイド・バイ・サイドで駆け抜け、続く1コーナーでZENT GR Supraを抜き去り前へ。
そのままの勢いで続く最終コーナーでも3番手のRAYBRIG牧野任祐に仕掛け、51周目のホームストレート上でオーバーテイク。その攻防を見ていた石浦も続き、TGRコーナーで3ワイドに持ち込み、続くセクター1にかけてZENT GR Supraも4番手に進出する。
この攻防劇でGRスープラが首位から4番手までを独占する体制となり、やはりFR化初戦のNSX-GTはまだタイヤライフの管理にデータが乏しいか、SC再開直後に見せたウェービングからピックアップが激しいか、苦しい状況に追い込まれてしまう。
終盤に向けてさらに猛威を振るうGRスープラ勢は、3番手WAKO’S坪井がau関口に迫るものの、秒差圏内のバトルは最後までポジションを譲らなかった関口が2位を死守。
63周目にはDENSO KOBELCO SARD GR Supraを代打ドライブした2019年王者、山下健太がRAYBRIG NSX-GTを仕留めて5番手へ。これで優勝のKeePer TOM’S平川から5位DENSO KOBELCO SARDまでGRスープラが1-2-3-4-5を独占。関口の奮闘で、トムスがワン・ツー・フィニッシュを飾っている。
GRスープラはGT500クラスの優勝に加え、GT300クラスでもJAF-GTのGRスープラ、52号車の埼玉トヨペットGB GR SupraGTが優勝を果たし、GRスープラがデビュー戦でGT500、GT300クラスそれぞれ優勝を果たすという快挙を達成している。
一方、苦戦が予想されたニッサン陣営は、CRAFTSPORT MOTUL GT-Rの千代勝正が64周目にARTA NSX-GTをかわしての7位入賞が最上位。23号車MOTUL AUTECH GT-RはGT300マシンとの接触もあり、11位に沈む厳しい開幕戦となっている。