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投稿日: 2020.08.04 18:25
更新日: 2020.08.04 18:44

スーパーGT:開幕戦トップ5を独占したスープラの強さの秘密と浮かび上がったClass1の最適解


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 LC500からスープラにシフトし、もっとも大きく変わったのはアウターパネルだが、じつはシャシーの設計コンセプトも変化している。

 今季よりGT500は、DTMとの統一車両規定に「かなり」準拠したClass1+αマシンに移行した。大きな変更点としてはデザインライン下やフロアなどエアロパーツの共通化、そして主要サスペンションパーツの共通化である。

 いずれも開発の余地が少なくなり、特にサスペンションはジオメトリーの設計自由度が狭まったため、独自性を打ち出すことが難しくなった。

 Class1のモノコックおよびサスペンションを設計したのはDTM側であり、彼らはすでに昨年からClass1規定のマシンで戦っていた。2019年11月の富士で開催された特別交流戦に出場したマシンがまさにそれであり、濡れた路面での速さは印象的だった。

2019年、スーパーGT×DTM特別交流戦が行われた際、DTM車両は、かなり車高が高いセッティングを採用していた。
2019年、スーパーGT×DTM特別交流戦が行われた際、DTM車両は、かなり車高が高いセッティングを採用していた。

 その際、スーパーGT関係者の興味を惹いたのがレーキアングルである。フロントに対してリヤの車高が驚くほど高い、いわゆるハイレーキなマシンが多かった。

 車高も総じて高く、ロー&フラットなGT500車両とはまったく違う設計思想を感じた。車高を高めるのは、路面μ(ミュー)が低い欧州のサーキットでローグリップなワンメイクタイヤのグリップを引き出すためであり、柔らかいサスペンションでロールを活かすことが目的である。

 しかし、そのままだとリフトやダイブなどピッチング方向の動きが大きくなるため、それを抑えるアンチ系を強めたジオメトリーになっているのではないか? と、GT500のエンジニアは分析する。路面μ、タイヤグリップ共に高いスーパーGTのマシンには、本来マッチしない設計のようだ。

 今季の開幕戦に姿を現したGT500は、多くのマシンがハイレーキを採用していた。特にスープラとNSXは前下がりなマシンが多く、GT-Rは全体的にフラット気味だった。

 レーキアングルをつければフロントのフロアが路面に近づき、グランドエフェクト効果が高まる。また、前傾姿勢になることでボディ全体でウイング効果を得やすくなる。つまり、規則変更により失われたダウンフォースを取り戻す効果があり、DTM車両がハイレーキを採用していたのもそのためだ。

 フロントとリヤを比べると、ディフューザーやウイングを備えるリヤに対し、多くを下面に頼るフロントはダウンフォースの確保が難しい。

 空力感度はフロントのほうが高く、前後の車高を平行に上げたとしたら、まずフロントのダウンフォースが減り、アンダーステアが強まる。

 そのため、空力を前後同じバランスに整えようとしたら、どうしてもハイレーキになってしまうのだ。それもあって、スープラとNSXはレーキアングルをつけることを前提とした設計にしたのかもしれない。

■各車のレーキアングルから分かる狙い


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