迎えた第2戦。予選ではふたたび3番手につけたシンティアム・アップル・ロータスだが、実はポールポジション獲得を狙って柔らかめのタイヤを使っていた。加藤はポールポジション記録もあとひとつ獲れば最多に並ぶ。ただ、これは叶わず、レースに向けてはどこまでもつか不安があるタイヤを履いてスタートすることになった。
今回はタイヤ四本交換義務づけということもあり、ポールポジションのADVICS muta 86MCはタイヤ無交換作戦をこなせるブリヂストンを履く。タイヤがタレることは想像しづらかった。逆に、2番手のSUBARU BRZ R&D SPORTやシンティアム・アップル・ロータスは、もともと四本交換想定だ。ただ、いざレースが始まると、ADVICS muta 86MCは少しずつ後退を喫し、SUBARU BRZ R&D SPORTとシンティアム・アップル・ロータスのマッチレースの様相を呈していった。

ロータスを駆る加藤は、少しずつSUBARU BRZ R&D SPORTのペースが落ちていくことを感じていたが、とはいえ加藤にもタイヤマネージメントに不安がある。特性も近いBRZを強引に抜くか、それともタイヤマネージメントに徹するか……。加藤はベテランならではのセルフマネージメントで、慎重にレースを進めていった。
「抜かれはしないだろうし、柳田選手が後半うまくやるだろうと思ってました。セーフティカーだけは入るなと思ってましたね」と加藤。
先にピットに向かったのはBRZ。これでロータスには、相手の出方を見る余裕ができた。加藤はピットインまでプッシュし、左リヤがきつくなるとピットに連絡。渡邉エンジニアは加藤を呼び戻す。「ウチは攻めました(笑)」と給油時間を短縮し、見事柳田をBRZの前で送り出すことに成功する。
「絶対前に出られると思ったし、加藤さんのラップも良かったので、すごく自信になりました」という柳田は、2番手のBRZとのマージンをきっちりとコントロール。「ほぼプランニングしたとおり(渡邉エンジニア)」と、柳田はGT500で戦っていた2016年以来となる勝利のチェッカーを受けた。
「表彰台争いをするのもひさびさだったし、そもそもスーパーGTで乗っていなかったですからね。そのなかで、こうしてチームに拾ってもらったことが最大の喜びだし、感謝ですよね。僕の価値を分かって使ってもらった。僕もその恩を全力で返したかったし、2戦目で返せたのが本当に良かった」と柳田は喜んだ。
「前回も速さはあったし、今回も上位で争える感じはあった。でもまさか優勝できるとは思わなかったですね。それについては驚きもあった反面、やってきたことが間違っていなかったと確認できました。クルマが速いのは分かっていても、結果を出すことがやっぱり大事ですからね」
