そのZENTの前、2番グリッドを確保したのはMOTUL AUTECH GT-Rだ。Q1を担当した松田次生は開口一番、「中企(Modulo NSX-GT)がなんであんなに速いのか分からない。想像ができない速さです」と首を傾げたが、モチュールGT-Rとしても「やるだけのことはやって出せたタイム」と表情は明るい。
開幕戦はノーポイント、第2戦はエンジントラブルで順位を下げるなど、モチュールGT-Rも追い込まれた状態でこのラウンドに乗り込んできたが、今週は走り出しからいい流れをつかんでいた。
「今回は持ち込みのセットが良かったので、朝から(予選まで)ほとんどいじってないです。開幕戦、第2戦と苦労しましたが、いろいろとセットを見直せて良かった」と次生は言う。
第2戦では、富士のセクター3など小さいコーナーでの改善が顕著だったというが、今回はその部分が効いているというわけではないようで「どっちかと言ったらトータルバランス。前後バランスを少し見直したんです。そうしたら、自分たちのドライビングスタイルにクルマが合ってきた感じですね」。
次生が担当した予選Q1ではセクター1の最速タイムをたたき出している。鈴鹿の特徴でもある、切り返しのS字区間を含むこのセクター1での速さは「狙いどおり。いい感触です」という。
決勝に向けては「38号車(ZENT)のストレートが速いし、14号車(ワコーズ)のロングランもえらい速かった」と背後にいる2台のGRスープラ勢を警戒している。
「あとは、ダンロップのタイヤがどこまでもつのか。こんな(予選の)タイム差はなかなかないので、これでもったらすごいタイヤだな、と」
なお、次生によれば今回持ち込んでいるミシュランのタイヤは「レンジが広く、温度が今日くらいでも、下がっても大丈夫」だという。決勝日の最高気温は30〜31度程度と、予選日よりは低くなる予想だ。

■「路面が濡れてさえいなければ」ダンロップが行ける?
2台が異口同音に警戒するポールポジションのモデューロ。その足元を固めるダンロップ陣営は予選でのタイムについて、「重量ハンデの違いもありますし、それほど差はないと思っています」(ダンロップ開発責任者・安田恵直氏)と冷静だ。
予選のタイムがあまりにも良かったことに対し、ロングランを不安視する向きも周囲にはあるが、「7月のタイヤメーカーテストの際のタイムは良くなかったですが、今回のコンディション・今回のスペックだと、悪くないと思います」(安田氏)と自信を見せる。
不安は、決勝日午前中に雨の予報が出ていること。いわゆる“チョイ濡れスリック”のような状況には弱いスペックなのだという。一方でドライで暑くなる分には問題がなく、予想される最高気温もレンジの範囲内。「濡れてさえいなければ」(安田氏)行ける感触はあるという。

予選トップ3に、今季ここまでとは違う“主役”たちが並び、しかもタイヤメーカーもすべて異なっている。決勝では、スタート直後から3台のペースがどう変化するか(しないか)、注目したい。