更新日: 2020.08.23 17:58
まるで1000kmのような真夏のサバイバル戦。逆襲のMOTUL AUTECH GT-R、今季待望の初勝利【第3戦鈴鹿GT500決勝】
さらにこの先頭集団に次なる異変が起きたのは15周目。64号車伊沢はGT300をパスする中でタイヤに問題を抱えたかさらに急激なペースダウン。見るからにコーナーを曲がれないModulo NSX-GTは、ダンロップコーナーでMOTUL AUTECH GT-R、ZENT GR Supraに立て続けに抜かれると、デグナーからヘアピンにかけて次々とオーバーテイクを許し、なんと7番手にまで一気にポジションを落としてしまう。
そんな64号車とは対照的に、このタイミングでペースを上げて来たのは100号車RAYBRIGの牧野で、16周目にはWAKO’S 4CR GR Supra、そしてスプーンではZENT立川のインにも滑り込み、2番手にまで浮上してくる。
ここで24号車リアライズコーポレーション ADVAN GT-Rのフロントカウルがバックストレート上に剥がれ落ちた影響で、この日2度目のSCランが入り一旦仕切り直しとなったバトルは、23周目にリスタート。
するとSCピリオド中にルーティン作業をスタンバイしていた上位勢が一斉にピットへと雪崩れ込もうとしたそのとき、3番手にいた38号車ZENT GR Supraはギヤシフトにトラブルを抱えて加速もままならず。GT-Rのテールを突き続けたファイター立川は、無念にもそのままピットでレースを終えてしまう。
この周回でピットに入った64号車Moduloや8号車ARTAらに続き、次の周回には2番手のRAYBRIG NSX-GTやKEIHIN NSX-GTらがピットへ。その翌周25周目には首位MOTUL AUTECH GT-Rがピットへ向かい36.5秒の静止時間でトップのままコースへ。各車がルーティンを済ませた27周目には2.7秒の差でトップの地位を守ってみせる。
その背後3番手には、ファーストスティント終盤に今季初ドライブとなるヘイキ・コバライネンの力走で順位を上げ、首位2台の1周後にピットへ飛び込んだDENSO KOBELCO SARD GR Supraが浮上し、4番手にも同時ピットだったModulo NSX-GT大津弘樹をアウトラップのシケインで仕留めていた、ARTA NSX-GT福住仁嶺が上がってくる。
レースも折り返しを過ぎた29周目に再びGT300のアクシデントで3度目のSCとなり、32周目にホームストレート上で再び隊列を整えると、ここからはセカンドスティント担当のドライバー同士によるコース上決着の展開に。
34周目の再開直後から、1分50秒346の自己ベストを刻んで逃げる首位の松田次生の背後では3番手争いが激化。その結末は36周目に訪れ、ヘアピンで39号車DENSO KOBELCO SARDの背後を伺った4番手ARTAの福住は、ラインが交錯しGR Supraのテールに追突。
これでSARD中山雄一はたまらずスピンを喫し5番手までドロップ。一方のARTA NSX-GTもフロントバンパーを左を破損し、千載一遇の機会だった第3戦を失ってしまう。
これで表彰台圏内3番手に浮上して来たのが60kgものWHを搭載して”お休み”ラウンドだったはずの36号車au TOM’S GR Supraで、関口雄飛は39周目に1分50秒413と自己ベストを更新し、前とのギャップを詰めていく勢いを見せる。
40周を過ぎて以降の残り周回も、首位MOTUL AUTECH GT-Rはこれまでの不振からの復活を印象付ける盤石のラップを積み重ね、52周のトップチェッカー。富士での開幕2戦でどん底を味わった松田次生と23号車が、待望の今季初優勝。2位RAYBRIG NSX-GT、3位au TOM’S GR Supraのトップ3に。3者3様、それぞれ思惑の異なる表彰台となった。