更新日: 2020.08.26 23:35
Max Racing 2020スーパーGT第3戦鈴鹿 レースレポート
Max Racing
レース結果報告書
■日時 2020年8月22〜23日
■車両名 たかのこの湯 RC-F GT3
■場所 鈴鹿サーキット ■ゼッケン 244
■監督 田中哲也
■ドライバー 久保凜太郎/三宅淳詞
■チーム Max Racing
■リザルト 予選4位/決勝20位
予選4位を獲得! 急成長するMax Racingに降りかかる試練
今シーズンからスーパーGT GT300 クラスに参戦する新チームMax Racingのレースレポートを熱血田中哲也監督の目線でお届けします。メンテナンスはつちやエンジニアリングとRS中春がジョイントして担当。監督を含めて経験豊富な体制ですが、ドライバーはスーパーGTへ1シーズンぶり復帰の26歳久保凜太郎と、FIA-F4で19年ランキング2位となった21歳三宅淳詞がコンビを組みます。若いふたりをどれだけ成長させられるかが、今シーズン、チームの大きなテーマでもあります。上位にはGT500経験を持つドライバーが名を連ね、超ハイレベルとなっているGT300だけに、挑戦しがいのあるフィールドだと言えるでしょう。
GT500参戦経験を持ち、GT300ではチャンピオン経験もある哲也監督がどのようにふたりを導くのか、ドライバーの能力が試され、真剣勝負が求められる場面は予想より早くやってきました。
開幕戦は絶対完走をテーマとして、それはクリア。第2戦はレクサスRC Fの最上位の目標はクリアしたものの、ポイント獲得はなりませんでした。第3戦の舞台鈴鹿はそのRC Fが比較的得意とするコースでもあります。また、SRS-F出身で三重県出身でもある三宅にとって鈴鹿がホームコース。期待が高まります。
前回に続き、三宅に経験を積ませるためにも公式練習は三宅主体で進めます。走り出しから好調で4〜5番手の位置につけます。三宅はRC Fを鈴鹿で走らせるのは初めて。チームとしても鈴鹿でのテストを実施していませんでしたが、持ち込みセットがピタリと当たったようです。予選に向けて非常にいい流 れができました。
「前回、ポイントは獲れなかったものの、RC Fのなかでのトップでゴールすることはできました。まずは今回もRC Fのなかでトップが目標。特にGT500を経験した坂口晴南が(同じRC Fのドライバーとして)いるのでQ1で晴南に勝ってアピールしろと三宅に気合いを入れて、凜太郎には絶対にQ2乗ることになるから、思い切りいけるだけいけと指示しました。上位がウェイトを積んでいることもありますが、鈴鹿はRC Fが得意なコースでもあるので、ここが狙い目と考えていました」(哲也監督)
ふたりは監督の期待以上の走りを予選でみせます。三宅は1分58秒959のタイムをマークしてBグループ2番手でQ2進出を果たし、Q2を担当した凜太郎は1分58秒889とさらにタイムを縮めて4番手グリッドを確保しました。ポイント獲得よりさらに上の目標を掲げてもよいくらいの好位置です。「10番手までには入れるかなと考えていたので、期待以上です。ここまできたら欲が出ますね(笑)。少なくとも予選順位より下がらないレースがしたい。新チームですけど、2戦連続RC Fで予選トップですから、そうやって積み重ねていくと周りからの見方も変わるし、ドライバー自身も変わるし、自然にいい流れができる。スタートは三宅でいくつもりです。タイヤに一番厳しいこの鈴鹿で、タイヤをもたせるのは簡単ではないでしょうし、厳しいようなら規定周回で入ってこられる。凜太郎の方がそのあたりの経験はあるので、ドライビングの引き出しを使い後半をまとめてもらいたい」(哲也監督)
決勝は波乱の幕開けとなりました。オープニングラップでアクシデントが発生してセーフティカー(SC)が導入されます。5周目リスタートが切られると三宅が乗る「たかのこの湯 RC F GT3」は5番手に後退。しかし、そこからはペースを維持してポジションもキープします。
16周目、再びアクシデント発生によりSC導入となり21周目にリスタートを迎えると、ここで各車の戦略が分かれました。ドライバーの規定周回数はクリアしているので、ピットインすることも可能です。リスタート直後にピットインすればロスが少ない反面、後半スティントが長くなり、タイヤマネージメントは難しくなります。
タイヤライフを考慮して「たかのこの湯 RC F」はステイアウトを選択します。その結果ではありますが、24周目はラップリーダーとなりました。25周目にピットイン。作業に少し時間を要して、凜太郎がコース復帰すると18番手に後退。ここから順位を挽回していこうとした矢先、1コーナーでインに飛び込んだ他車と並走。2コーナーに対してアウト側で接触しながらラインをキープしたものの相手車両がスピンしてしまいました。
その後、上位でまだルーティンのピットインを済ませていなかったマシンがいなくなると35周目10番手に浮上。さらに上位を目指していたものの、26周目の接触に対してドライブスルーペナルティの裁定が下り、後退を余儀なくされ20位でゴールしました。前半、トップがみえる位置でレースを進めていただけに残念な結果となったのです。
「前半、ボクらの後ろにいた11号車は我々と似たような作戦を採っていました。しかし11号車はピットも速かったし、ピットアウトした時点で負けた。でも予選がよかったから、『勝った負けた』と言えるところでレースできたことは大きな収穫です」
「そのレベルにいくと、チャンピオンを獲っている、そこで争っているチーム、ドライバーが相手になるのでシビアです。今回のレースではいろんなことが起きましたけど、チームにとっては初めてそういう場所でレースをしたので、これでよかったと思っています。正攻法の作戦を採って、チームもドライバーもがんばったけども足らなかった。後ろにいた11号車が勝って、我々の結果がこうなった課題はどこにあるのか検証して、そこから今後への課題を見つけて取り組むことに価値があります」
「スーパーGTは一瞬、一瞬のかけ引きでレースが決まるわけではない。当たっても当てられてもダメ。そこまでいくらがんばったとしても当たったドライバーは評価されない。これはボク自身が組ませてもらった長谷見昌弘さんから教わったことです。長谷見さんからボクがもらった言葉より、数段優しく凜太郎には伝えました(笑)。ここからどう成長できるかどうかが、大きなターニングポイントになるかもしれません。ボク自身、多くの失敗をしましたし、それまでは当たっても前にいけばいいと思っていたところもありますが、長谷見さんと組ませてもらってから変えることができました。速さがあれば、変えることはできます。ふたりが成長する姿をみせることができれば、それはチームの評価にもつながるでしょう」(哲也監督)
第3戦、突然やってきたチャンスに空回りしてしまったMax Racingですが、この失敗を糧に前進していきます。
【久保凜太郎のコメント】
ペナルティの裁定は、受け入れるしかありません。もし、あれがなくてあの6位争いの集団でレースを続けていたらと想像すると、ペースとしては厳しかったかもしれません。激しいバトルのなかにいるとタイヤを使ってしまいますし、そこで引くわけにもいかない。結果、ドライブスルーを終えてから単独になって、ペースを上げていこうとしましたが、タイヤは厳しい状況でした。今回で得られた課題を今後に活かしたいですし、特に第6戦鈴鹿はしっかり戦いたいと思います。
【三宅淳詞のコメント】
昨日の公式練習で初めてこの鈴鹿をRC Fで走りました。ドライビングが決まっていなくても5番手くらいにいたので、今回はやっぱりクルマのポテンシャルがあるのだと感じました。調子がよかったので、そこから落ち着いてドライビングを詰められたのがQ1をグループ2位で通過できた要因だと思います。決勝はタイヤが厳しい展開になると予想していました。しかし、走る前に哲也さんや(土屋)武士さんに、どこで勝負をかけて、どこでタイヤを守るのか、クルマの特性も含めて教えてもらったことを活かし、ひとつ順位は落としたものの5番手で走れて、なおかつタイヤをマネージメントできたのは自信につながりました。開幕戦からみると、どんどん予選の順位も上がっていますし、うまくいけば今回、表彰台もいけていたと思います。このレースで悪かった点をみつけてそれを解決して、次のもてぎでも落ち着いてがんばりたいです。