Kazushi NAKANO / autosport web

 ピックアップとは、タイヤ表面にタイヤかすがこびりついてしまうことによって生じる(一時的な)グリップダウンのことを指す。タイヤ競争の激しいスーパーGTでは、とりわけ2010年代に入ってから顕著に見られるようになった現象で、ときにレースの勝敗を大きく左右する。

 ピックアップは自らのタイヤのゴムかすが飛んでいかない現象と、路面に落ちている他車のゴムを拾ってしまう現象に大別できるが、山本氏は「そのふたつを切り分けることは、正直なかなかできないです」と打ち明ける。

「いずれによ、拾ったものが飛んでいかないのが一番まずいわけです」。自ゴムはその瞬間瞬間は大きなものではないが、路面に落ちているゴムは大きな塊となっていることもあるからだ。

「鈴鹿だとフロントに付くことが多いのですが、フロントは(ステアリングを)切ればいいので、比較的飛ばしやすい。現象としてのピックアップはフロントにも起きているけど、問題にはならないということです。タイムがガクっと落ちるのはリヤのときが多いかもしれません」

 ピックアップに対しては、セットアップや乗り方で解決することができている陣営がある一方、しばしば悩まされ続けている陣営もあり、「よくピックアップが起きる(問題になる)クルマ」と「問題にならないクルマ」という傾向は明確に存在している。

 たとえば今季のNSX-GTでいえばARTA NSX-GTとRAYBRIG NSX-GTにはピックアップが起こりやすいが、KEIHIN NSX-GTはほとんどピックアップに悩まされていない。

2020年スーパーGT KEIHIN NSX-GT(塚越広大/ベルトラン・バゲット)
2020年スーパーGT KEIHIN NSX-GT(塚越広大/ベルトラン・バゲット)

「(NSX-GTの3チームに関しては)以前から同様の傾向はありますね。クルマのセットの方向なのか、ドライバーさんの乗り方の違いなのか……」と山本氏。

 また、GRスープラとGT-R陣営からはあまりピックアップを問題視する声は聞かれないが「走ったあとのタイヤの肌などを見るとピックアップにつながりそうな兆候はある」という。

「ただ、スープラに関してはほぼ(問題視する声は)ないですね。うまく飛ばせているのか、乗り方を意識しているのか。よく分かりませんが……」

 タイヤメーカーの開発担当者も「よく分からない」というピックアップ。車両が新しくなった今季も、この問題はついてまわっている。これはBSに限ったことではなく、他のタイヤメーカーを履く陣営も同様のようだ。今後もしばしば、レースの行方を左右する存在となりそうだ。

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