BSが今季力を入れてきたのはドライタイヤだけではない。まだ実戦でその投入チャンスはないが、ウエットにも重点を置いて開発を進めてきた。
きっかけは、昨年9月に行なわれた第7戦SUGOである。
一部スリックスタート組はいたものの、基本はスタートからフィニッシュまでフルウエットとなったこのレースで、BSは惨敗。表彰台の一角に食い込むことすら許されなかった。
レース序盤はハードめのウエットタイヤが機能したが、セーフティカーが入ったことでタイヤ温度が下がるなどした結果、BS勢は軒並みペースに苦しんだ。
雨天時は、水量や温度変化などによってタイヤメーカーの勢力図が大きく変動する傾向にある。それまでの岡山や富士における雨では強さを発揮できていたBS陣営だったが、このSUGOのコンディションで「足りなかった部分が明確になった」という。
「SUGOの敗戦を受け、ウエットについてはわりと大きな課題と捉え、改善に取り組みました」と山本氏。
「オフの間、ちょうど新型コロナウイルスの感染拡大が始まる前くらいまでがメインの開発期間でしたが、そこでいいものが手にできました。ただ、そういうシーズンに限って雨が降らない(笑)。富士も鈴鹿も、直前まで降水確率が高かったのに、天気がどんどん良くなっていって……」
「『ドライで勝っても昨年の延長なので、雨が降って欲しい』なんて言う、強気なスタッフもいます(笑)。ただ、ウエットについては負けていたところからのスタートなので、他社さんも今季に向けてさらに伸びているかもしれない。不安はありつつも(成果を)見てみたい、という心境です」
今週末の第4戦ツインリンクもてぎは、現時点では雨が絡みそうな予報もある。早くもシーズン前半戦のラストレースを迎えるもてぎでは、ウエットでの勢力図にも注目していきたい。
