44周目の5コーナー、関口がインを閉める。そのさらにイン側に入ろうとするキャシディ。関口と右リヤとキャシディの左フロントが当たる。auは右リヤフェンダーやリヤウイング翼端板などを破損、キャシディは11番手まで順位を下げることになった。

 関口はマシンのダメージがひどく、「ダウンフォースがなくなって、3〜4コーナーが遅くなった。そこで差を詰められて5コーナーで抜かれる展開になってしまいました」と、キャシディらに先行を許し、後退していく。

 最終ラップには同様のパターンでModule NSX-GTの大津弘樹にもパスされたauは、ポイント圏外の11位でレースを終えた。

 一方のキャシディはその後もウエイトハンデを感じさせない勢いを終盤まで持続させ、6位にまで順位を上げてフィニッシュした。

 トムスの同士討ちに対する裁定はレーシングアクシデント。両者の言い分も平行線だ。

「俺からすると『いや、それは無理でしょ。なんでこっちが避けなきゃいけないの』っていう。だって当たった位置が横(同士)じゃなくて、(自分の)後ろだし。あれはニックが無理した」(関口)

「結局のところ、チームの利益を考慮すると、僕たち2人はそれぞれ違った選択ができたと思う」とキャシディ。

「あの段階では自分の方がペースがよかったので、考えすぎかもしれないけど、将来的に協力し合えるようにチーム内で話し合いたいね。雄飛のことはとても尊敬しているし、才能あるドライバーだと思うので、今後の問題はないと思っている。今回のことでお互い学んだしね」(キャシディ)

 同士討ちへの見方はさまざまだろうが、接触がなければ両車ともさらに上位でゴールでき、ヘビーウエイト下で貴重なポイントを稼げていたことは事実だろう。

 チェッカー後、自分には非がないと思いながらも同じチーム内での関係性を気づかった関口は、キャシディに「ごめんね」と声をかけたという。だが「ニックは怒ってましたね」と関口。“大人の対応”が通用しなかったことに、関口は困惑を隠さない。

 トムスの2台は張り詰めた緊張感を保ったまま、ランキング2&3位で後半戦に挑む。

「17号車(KEIHIN NSX-GT)は速すぎだけど、その次くらいにクルマは良かったし、(次戦の)富士でも行けると思う」と関口。キャシディも「ポディウムに登るスピードはあった」ともてぎで得た好感触を語る。

「もてぎより富士の方が燃リスは効く気がする」(関口)なか、さらに多くのマシンのウエイトがかさんでいく後半戦は、タイトル争いがさらに混迷を極めそうな予感がする。

 足早にサーキットをあとにする平川亮は、トムスの開幕戦ワン・ツー・フィニッシュを祝うTシャツを着込んでいた。次に2台が表彰台の上で笑顔を見せるのは、いつになるのだろうか。

※ニック・キャシディ選手の申し出により、一部のコメントを修正しました。

2020年スーパーGT第4戦もてぎ KeePer TOM’S GR Supra(平川亮/ニック・キャシディ)
2020年スーパーGT第4戦もてぎ KeePer TOM’S GR Supra(平川亮/ニック・キャシディ)

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