近年ブリヂストン勢が強さをみせているなかで、ダンロップが台頭する流れが見えつつあるGT300。一方、ヨコハマ勢も少しずつ巻き返しをみせつつある。HOPPY Porscheの土屋武士監督は「昨年まで『打倒BS』と言っていましたが、ダンロップさんごめんなさいと(笑)。今は完全に二強になりつつあるので、頑張れヨコハマという声も聞こえてきています。その責を背負いながらやっていきたいですね」という。
「我々は今年からGT3を使っていますが、今回ようやく基準となるタイヤができました。ここから細かく積み上げていく作業に入ります。ポルシェが欲しがっているところに対して、エンジニアも理解が進みました。ストレートスピードはBoPで弱い部分はありますが、そのなかでこの順位は悲観的でもないですね。もともとポルシェは一発が出ないクルマですから」
ヨコハマ勢では、リアライズ 日産自動車大学校 GT-Rが6番手。グッドスマイル 初音ミク AMGも9番手につけており、10番手のHOPPY Porscheとともに決勝でどんなパフォーマンスをみせてくれるのか期待したいところだ。ただ、土屋監督はこんな指摘もする。
「ヨコハマの辛いところは、台数が多いこと。少ない台数であれば、そのレースに向けて3種類のタイヤを作り、そのうち2種類を選ぶことができる。でも台数が多いヨコハマは、2種類しか作ることができないんです」
「2種類を選ぶとなると、攻めたチョイスはできない。これはすごくジレンマなんですよね。でもヨコハマがGT300を、日本のモータースポーツを支えてくれているのも間違いない。もしフェアにするのであれば、誰でもどのメーカーのタイヤを買えるようにするか、少なくとも30台のうち、最低で面倒をみる台数を決めるかだと思うんです。もちろん難しい部分はあり、そうはいきませんけど。今のところの解決策は『ヨコハマがんばれ』です(笑)」
一方で今季から参入したミシュラン勢にとっては今回の予選は辛いものになった。SYNTIUM LMcorsa RC F GT3が24番手、PACIFIC NAC D’station Vantage GT3が25番手という順位。走り出しの路面がまだできあがっていない状態や、前戦もてぎのような不安定なコンディションでは速さをみせるが、今季これまでのドライの予選順位を見ると、やはり一発には伸び悩んでいるようにも見える。
ミシュランは今季からGT300に参入するにあたり、“スーパーGTに特化したタイヤ”ではなく、世界各国に供給するGT3/GTE用のスペックから使用タイヤをチョイスする仕組みをとっている。コストパフォーマンスのバランスをとるための取り組みだが、“強み”はあるものの、専用タイヤではない分、やはりピークのパフォーマンスが出ていないと推測される。とはいえ、無交換ができるものでもないはずで、このあたりは使用チームにとっても悩ましいポイントになりそうだ。取り組み自体はうまくいって欲しいところだけに、難しいところだろう。
そして無交換という単語を出したが、10月4日の決勝レースはその無交換作戦、もしくは二輪交換を採るチームがかなり多そうだ。もちろんレース前なのでどのチームが……というのは書くことはできないが、検討しているチームはかなり多かった。車種やタイヤメーカーによって異なるが、スーパーGT第5戦富士の決勝は戦略がものをいうレースになりそうだ。もちろん、それにはセーフティカーのタイミングも含まれる。

