更新日: 2020.10.05 09:47
KONDO RACINGと日産自動車大学校の挑戦が結実。「嬉しいんだけど、ちょっと遅かったね(笑)」と近藤真彦監督《第5戦富士GT300決勝あと読み》
2020年、新たにチームはGT500でも豊富な経験を誇るジョアオ・パオロ・デ・オリベイラと、スーパー耐久で実績を残してきた藤波清斗のふたりを起用することになった。特に藤波にとっては大いに期待を込められての起用であり、「このような環境でやらせてもらえるとは思ってもみませんでしたし、絶好のチャンスだと思っています」というチーム加入だった。
序盤戦から好位置につけつつも、オリベイラが“守る”展開が多かった2020年シーズン序盤戦は、新型コロナウイルスの影響もあり、日産自動車大学校のスタッフたちもサーキットに来られない状況が続いていた。開幕3戦でポイントは得るも、なかなか表彰台には届かない。しかしこの週末、特に決勝レースでは抜群のスピードをもっていた。
「序盤からいいポテンシャルはありましたし、20周目くらいまでセーブして走っていたんです。コントロールできるくらい扱いやすく、乗りやすいクルマでした」という藤波は、序盤からひとつずつオーバーテイクをみせ5周目には4番手、6周目には9周目には3番手、さらに15周目にはトップに浮上した。
藤波は快走をみせると、29周を終えピットインし、オリベイラに交代する。ところがこのレースでは、無交換作戦や二輪交換という作戦を採るチームがおり、オリベイラの前には無交換作戦の吉田広樹が駆る埼玉トヨペットGB GR Supra GTが走っていた。
第1戦富士でも無交換作戦を成功させていた埼玉トヨペットGB GR Supra GTだが、少しずつリアライズ 日産自動車大学校 GT-Rとの間隔は近づいていた。「開幕戦で無交換を行いましたが、昨年のMCも同様ですが、はじめの数周はタイヤが苦しく落ちるんですね。しかし、そこを耐えれば燃料が減ることでタイムが上がり、無交換作戦を実行できるんです(吉田)」というものだが、今回の第5戦富士は参加条件が変わっているうえ、ウエイトハンデもある。第1戦とは100kgの重さの違いがあり、埼玉トヨペットGB GR Supra GTにとっては第1戦の再現とはいかなかった。
「単独走行だったら大丈夫だったと思うんですが、バトルになるとトラクションがなさすぎ厳しかったですね」という吉田を、ペースに優るオリベイラは47周目にパス。これでリアライズ 日産自動車大学校 GT-Rにとっての歓喜の瞬間がやってきた。
実は藤波にとっては、2019年の第5戦富士以来の2勝目。ただ昨年は第3ドライバーで、作戦のなかできっちりとその仕事を果たす役割だったが、今季は攻めてトップに立ち、そして勝った。藤波のドライバーとしての成長も感じることができた一戦だった。
「昨年は作戦で勝った部分もありますが、ガチンコで勝負して勝ったのがすごく嬉しいです」と藤波は笑顔で語った。そして、新たな高みも目指しているという。
「1勝という目標を達成することができたので、次の目標としてチャンピオンを目指したいと思います」