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投稿日: 2020.10.08 17:46
更新日: 2020.10.09 12:54

進化は“ミリ単位の蓄積”で。2020年仕様SUBARU BRZ R&D SPORT開発の舞台裏


スーパーGT | 進化は“ミリ単位の蓄積”で。2020年仕様SUBARU BRZ R&D SPORT開発の舞台裏

「それだけエンジン側が頑張っているのを助けたいわけです。ほんの数mmのところでも『ここ攻められるんじゃないか』というのを思い切ってやりました」

「5mmの変化をドライバーが感じるか。それプラス、同時にフロントのサスペンションもアライメントを見直して、去年やったことがもう少し進められるように許容範囲を広げるというか『ジオメトリーはこういう方向がいいんじゃないか』と」

「今年はいろんなものを同時にやったんですが、走り始め一番最初のシェイクダウンが2月の鈴鹿で、そのときから感触は結構よかったです。1個1個を個別に試して評価したわけじゃないんで『どれがどれだけ良くなりました』とは、ドライバーが言及したわけじゃないんですけどね」

 さらに7月の開幕直前に鈴鹿で開催されたタイヤメーカーテストでは悪天候に見舞われたものの、逆にそのことが新エアロパーツの評価にも役立ったという。

「あのときは天候が悪くてですね、足回りのセットアップには一切の時間が割けなかった。でも悪いなかで逆にエアロパーツの評価に時間が充分使えたので、そこで見極めができた。『これとこれ採用』『これは富士仕様』『これはこんなときに使えるかな』の項目分けができた感じです」

 2位表彰台を獲得した第2戦富士からは3戦連続でポイント獲得を果たしたBRZだが、第3戦鈴鹿では予選17番手という窮地に陥り、そこからの4位カムバックというスリリングな状況も経験した。その裏には、年々高度化が進むタイヤ開発との相関も見て取れる。

「高荷重、高路温の鈴鹿は、やはり春先にやったタイヤの動きとは違うものになる、ってことでしょうか。そこは自分たちだけでは分かり難い。タイヤ屋さんの想定とレコメンドを受けて選択してるんですけど、その条件でのタイヤの潰れ方やグリップの出方が変わると、クルマの動きも変わるんだろうと。そんなイメージをしています」

 ハイレベルな競技環境でも「進化してるから、また見えないところが出てくる」ことこそJAF-GT車両の醍醐味であり、面白さの由縁だ。

「鈴鹿ではほぼ皆さん4輪交換でしたが、うちは17番手もあって『(リヤ)2本で行こうよ』と攻めた。それが戦略だし、そういうクルマ造りをしてのチーム力なので、僕はそちらの方が楽しいですよ。給油で負けるのは悲しいですけど(涙)」

 2020年シーズンも残すは鈴鹿、もてぎ、そして富士の3戦。さらに終盤2戦は戦いながら徐々にウエイトを降ろしていく展開になる。神の宿る細部を攻めに攻めた、20年型SUBARU BRZ R&D SPORTのさらなる真価は、ここから試されることになる。

パイププフレームの車体は、2012年以降アップデートを受け、現行で4世代目を数える
神の宿る細部を攻めに攻めた、20年型SUBARU BRZ R&D SPORTのさらなる真価は、ここから試されることになる

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