更新日: 2020.11.30 11:34
Hitotsuyama Audi R8 LMSの“4の勝因”。若きふたりにも嬉しい勝利に《第6戦鈴鹿GT300決勝あと読み》
そして、この勝利は川端と近藤にとっては、嬉しいGT300初勝利となった。川端は2017年にGT300にデビューしたが、なかなか上位には届かないままだった。2019年にはGT300のシートを失っていたが、今季Hitotsuyama Audi R8 LMSのシートを得て、いきなり優勝をもたらした。
「本当に嬉しいです。こんなに嬉しいものかというくらいです。初優勝ですしね」と川端。
「今年は調子が良かったのにうまくいかないことも多かったですが、今回はセットアップもうまくいって、すごくクルマが進化していたんです。ピット作業もチームルマンさんは速いですし、こんなにうまくいくものなのか……というくらいですよね(笑)」
「最後は燃料もギリギリで、タイヤもかなり厳しかったです。でも先々週のスーパー耐久SUGO(F・Link Home CIVIC TCRを駆りST-TCRで優勝)でも、燃料をセーブしろ……と言われて勝つことができたので。こんなに流れが良いことも珍しいですね」
大阪府出身の川端にとって、鈴鹿サーキットはやはり「特別なサーキット」。2017年には中山友貴とドライブしたUPGARAGE BANDOH 86でトップを走りながら、無念のストップを喫していた。
「3年間GT300をやってきましたが、UPGARAGE BANDOH 86に乗っていた2017年の鈴鹿1000kmのときに、ずっとトップを走っていてクルマが壊れてしまったときの悔しかった思い出もあります。それに鈴鹿は地元からもいちばん近いですし、好きなサーキットで特別なんです。そこで優勝できたのが本当に嬉しい」と川端は言う。
そして、そんな川端の嬉しい初優勝に、TGR TEAM SARDの監督である脇阪寿一から何かひと言はないか? と聞いた。亡き松本恵二さんの薫陶を受けた川端にとって、寿一は師匠だからだ。
「おめでとうございます。よく頑張ったと思いますし、“強いレース”ができたと思います」と寿一は川端に祝福の言葉を寄せた。「眉毛ヘンでしたけど(笑)」と続けたのは、寿一らしいところだろうか。
また近藤にとっても、嬉しいサクセスストーリーが描かれた。これまでもGT300参戦経験はある近藤だが、今季スーパーGT参戦の予定はなかった。ただ、スーパー耐久のD’station Vantage GT3でも速さをみせており、クリストファー・ミースが来日できない状況になったとき、一ツ山代表が白羽の矢を立てたのが近藤だった。
「本当はスーパーGTに出る予定もなかったんですけどね(笑)。ミース選手が来日できるまでの“繋ぎ”だと思っていたのに、まさか勝てるとは思ってもいませんでした。こういう機会をいただいて本当に感謝しています」とふだんから大人しいタイプの近藤は、まだ自分の優勝が信じられないかのような表情で語った。
「セーフティカーのタイミングがすべてだとは思いますが、クルマも今年いちばん良くて。上位で戦っていたからこそこうしてチャンスが生まれたのだと思います。こうしてチャンスを繋げることができて良かったです」
屈指のトップドライバーたちがせめぎ合うGT300で、いまだに優勝には届かないドライバーはたくさんいる。そんな中で掴んだ勝利は、TGR 86/BRZ Raceやポルシェカレラカップ・ジャパン等、これまでも多くのレースで好結果を残してきた近藤にとって、きっとプラスに働くはずだ。ぜひ今後もスーパーGTファンならば、近藤翼の名は覚えておいて損はない。
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