ウエイト100kgながら予選でフロントロウを獲得、決勝ではポールシッターK-tunes RC F GT3の後退により難なくトップに立ちレースを進めていたSUBARU BRZ R&D SPORT。燃料のウインドウが開いておらず早期のピット作業ができなかったことは既報のとおり。そしてSC導入時、その背後の2番手につけていたのはGAINER TANAX GT-Rだ。
GT-R勢は燃費(と燃料タンク容量)の面では、ミニマム周回時(今回のGT300では結果的に15周)にすでにピットイン可能な状態になっていた。この点はSUBARU BRZ R&D SPORTとは状況が異なるが、ちょうどピットタイミングを図っていたところではあったという。
「52号車がコースアウトする直前、ホームストレートで『ここからフルプッシュして、タイヤがなくなったらピットイン』という指示を出しました」と福田洋介エンジニア。1周まわってきたときには、すでにピット入口はクローズされていた。
今回GAINER TANAX GT-Rは、持ち込んだなかでソフト側のタイヤを選んで予選・決勝に臨んでいた。決勝前のウォームアップ走行では1スティント分の距離を走行したタイヤで、他車に引っかかりながらも2分01秒台で周回でき、決勝セットにも自信を持っていたという。
ただ、後半のタイヤ(四輪交換)のことを考えれば、もう少し周回数は引っ張っておきたいところだった。
「決勝スタート時点はすこし暑かったので、序盤はセーブしようと。なので、無理に前を抜きに行きませんでした。あそこでスティントの最後にプッシュしてピットに飛び込めば、後半はトップ争いができていたと思います」というほど、マシンとダンロップタイヤの状態は良かったという。
結果的にSCの妙によってポイント圏外へとドロップ。「(残り2戦でランキング首位とのポイント差が)1ケタか2ケタかというのは、大きい。ほとんど“マジック点灯”状態じゃないですかね。最低こちらが1勝して、向こう(LEON PYRAMID AMG)がとりこぼしてくれないと、タイトルはないかな」と福田エンジニアは落胆を隠さない。

同じGT-Rでヨコハマを履くリアライズ 日産自動車大学校 GT-Rも「燃料のウインドウは開いていましたが、タイヤのウインドウが開いていなかった」(米林慎一エンジニア)と、ピットインができていなかったグループに属する。
そのコメントからも分かるように、こちらも四輪交換を予定していた。セカンドスティントを短くするため、前半スティントはもう少し引っ張りたかったのもGAINER TANAX GT-Rと同様だ。米林エンジニアは続ける。
「できる限りスタートからタイヤをセーブしてもらって、メインのターゲットとしては11号車を見ながら、レースをしていました。ダンロップは予選も速かったけど、決勝でも良さそうでしたね。61号車が速いのは冬のテストから分かってましたが、11号車も同じGT-Rで同じ重量なのにペースが良くて……」
52号車のコースアウトを見てピットインを指示した際には、すでにマシンはホームストレートを走行しており、万事休す。SCがなければ「ちゃんとは検証していませんが、後半も6番手以内だったと思います」と悔しいノーポイントとなった。
