一方、PPを獲得したSUBARU BRZ R&D SPORTはこの週末、走り出しから山内英輝が中心となってマシンをセットアップ。そのステアリングを握りQ1・A組でアタックした井口卓人が1分46秒9でトップ通過したことにより、フロントロウが見えたという。澤田稔テクニカルコーディネーターが予選を振り返る。
「今回は山内が中心でセットアップしてくれたクルマなので、井口は90%くらいの力でQ1をパスしてくれれればと思ってました。それを見事にトップタイムで通過してくれ、おまけにタイムも1分46秒台に入ったので、山内が100%でアタックすれば46秒前半かな、でも2番手かな、と思っていました」
こちらも「レースに向けて、わりと堅実なタイヤを選択できました。ここまでは不安要素なく、来ています」と、序盤からトップに立ってSC出動まではレースを支配した第6戦鈴鹿と同レベルの、決勝での安定性は見えているという。
同じダンロップを履くGAINER TANAX GT-Rについては「パフォーマンスはいいと思います」と澤田氏は見ている。「ウチは後ろにつかれてしまったら、バックストレート1本で抜かれてしまう。だから逃げ切らないといけません」と後続を振り切りたい構えだ。
決勝の戦略は現時点では当然明かされないものの、ここ数戦の流れを考えればピット時間短縮のための二輪交換、あわよくば無交換を視野に入れているものと推測できる。
なお、SUBARU BRZ R&D SPORTの予選のベストラップは計測3周目。GAINER TANAX GT-Rに比べれば、タイヤをゆっくりと温めたことになる。このウォームアップの差も、二輪交換や無交換を考えてやや硬めのタイヤを選んでいるゆえ……かもしれない。
澤田氏も、GAINER TANAX GT-Rのウォームアップ性能の良さから、スタート直後を警戒している。その意味では、予選で2台の間に飛び込んだたかのこの湯 RC F GT3のスタート直後の動向も、非常に注目されるところだ。
もちろん、予選20番手に沈んだLEON PYRAMID AMGは、「コース上で抜くのは難しいと思うので……」(蒲生)と、お家芸とも言えるタイヤ無交換、または2輪交換作戦に打って出てくる可能性が高い。ポイント圏内フィニッシュを目指し、粘り強いレースをしてくるはずだ。
GAINER TANAX GT-Rからは10ポイント先、そしてSUBARU BRZ R&D SPORTにとっては16ポイント先(※予選PPの1点を加味)をゆくランキングリーダーに追いつくための熾烈なダンロップ対決は、今回の決勝の一番の見どころとも言える。
果たしてスタートから逃げ切れるのか、ウォームアップ性能を活かしてすぐに捕まえるのか。そして、戦略はどう分かれるのか。1位=20点を是が非でも手にしたいという気持ちは、両陣営とも同じである。

