PACIFIC – D’station Racing 2020スーパーGT第8戦富士 レースレポート
PACIFIC – D’station Racing
Race Report – 2020.12.01
http://dstation-racing.jp/pdf/2020/Dstation_sgt_2020_round8.pdf
AUTOBACS SUPER GT 2020 SERIES
Round.8 FUJI SPEEDWAY
November 28 – 29 2020
Qualify : 22th Race : 5th
17台抜きの激走! 歯車噛み合い今季最上位の5位で締めくくる
シーズン序盤こそポイント獲得に沸いたものの、中盤戦以降は苦しい戦いが続いてきたPACIFIC – D’station Racing。波乱に富んだ2020年もいよいよ締めくくりとなる、第8戦を迎えた。変則的なカレンダーで今年4回目の富士開催だが、例年にはない厳しい寒さのなかでのレースとなる。
そんな今シーズンの最終戦でPACIFIC NAC D’station Vantage GT3をドライブすることになったのは、エース藤井誠暢と、第5戦富士以来の参戦となる篠原拓朗のふたり。一年を良いかたちで終えるべく、11月28日(土)の予選日に臨んだ。
迎えた午前9時からの公式練習は晴天。まずは藤井からステアリングを握りコースインすると、セットアップの確認等の作業を行い、14周でピットへ。篠原に交代すると、ひさびさのSUPER GTに慣れるべく21周を周回。ふたたび藤井に交代する。ここで藤井は1分36秒948というベストタイムを記録したが、やはりライバルが速い。17番手で公式練習を終えることになった。
ここでチームは2種類のタイヤの比較を行っていたが、タイム差を考えると公式予選でタイムが出やすい柔らかめを使っても、そこまでタイムは上がらないかもしれない。ならば予選で使ったタイヤを決勝レーススタートで使わなければならないことを考えると、硬めのタイヤで予選に臨んだ方が良いのでは? という結論に至った。
迎えた午後1時15分からの公式予選Q1。A組から出走したPACIFIC NAC D’station Vantage GT3は藤井をアタッカーに据え、硬めのタイヤながらQ2進出へ向けウォームアップしながらアタックを展開していく。5周目、1分36秒977というベストタイムをマークしてみせるが、やはり近年のGT300は激戦そのもの。0.1秒強の差でわずかにQ2進出までは届かず、11番手という結果に。翌日の決勝は、22番手から挑むことになった。
明けた11月29日の決勝日。今季最終戦を楽しもうという多くのファンがスタンドを埋めるなか、午後1時からの決勝レースを迎えた。気温が低いため3周のフォーメーションラップを経てスタートが切られると、スタートドライバーを務めた藤井はいきなり1周目から4台をかわし18番手につける。さらに3周目から毎周に近いようなペースで1台、また1台とオーバーテイクを繰り返していく。前日選んでいたタイヤが、この日のコンディションにバッチリと合っており、藤井は今季のうっぷんをぶつけるかのような会心の走りをみせていたのだ。
藤井は12周目にはトップ10圏内を射程に収めると、15周目にはトップ10へ。さらに#10 GT-Rをかわし8番手へ。ライバルたちがタイヤのピックアップ等に苦しみ、早めのピットインを行っていくなか、藤井は快調そのもの。他車のピットインとともに、30周目にはトップまで浮上した。
22番手からトップまで順位を上げる大激走をみせた藤井は1分38秒台の好タイムを並べながら33周まで走るとピットイン。篠原に交代する。クルーも絶好のチャンスに抜群のピットワークをみせ篠原を送り出した。順位は5番手だ。
初めての上位陣でのレースとなった篠原だったが、スティント序盤は1分38秒台から39秒台と、トップグループ同様のタイムで前を追う。しかし、48周目あたりからピックアップの症状が出はじめ、ややタイムが落ちはじめてしまった。2番手〜4番手あたりまでは混戦で、追いつけば表彰台のチャンスもある。ピットの藤井からは篠原に向けアドバイスの無線が飛んだ。
その甲斐もあったか、残り3周からペースも上がりはじめ、表彰台にこそ届かなかったものの5位でフィニッシュ! シーズン最終戦にして今季最高位、2019年から使用してきたアストンマーティン・ヴァンテージAMR GT3での最高位を獲得することになった。ドライバー、マシン、そしてチームが本来もつポテンシャルがようやく発揮された結果に、チームメンバーはみな喜びと安堵感に包まれることになった。
もちろん、本来目指す先はまだまだ先だ。PACIFIC – D’station Racingは来季に向け、新たな体制でさらなる高みを求めていく。
COMMENTS
神野元樹
Motoki Jinno PACIFIC – D’station Racing Team Representative
チームの2020年最上位となる5位という結果を嬉しく思っています。コンディションにタイヤがマッチしてレース序盤から素晴らしいスピードがあり、藤井誠暢選手の走り、そしてクルマのポテンシャルがすべて発揮されたレースだったのではないでしょうか。またレース後半にピットインする戦略やピットワーク等、チームスタッフの働きも本当に素晴らしかったと思います。表彰台に届けばさらに良かったですが、大きなアクシデントもなくシーズンを終え、こうして締めくくることができて良かったです。応援ありがとうございました。
星野敏
Satoshi Hoshino D’station Racing Team Principal
2020年最終戦にして今年いちばんのレースを戦うことができました。もう少しで表彰台に届く走りでしたし、ヴァンテージAMR GT3のポテンシャルも改めて感じられました。タイヤも今回は性能を発揮することができました。また、藤井誠暢選手が10数台を抜いてきてくれたオーバーテイクショーも見事でしたね。欲を言えば表彰台で終わることができれば良かったですが、それは来年にとっておきましょう。一年間を通じた結果を言えば不満はあるものの、精一杯戦ってくれたと思います。今季得られたものを来年に活かしたいですね。
佐々木主浩
Kazuhiro Sasaki General Manager
公式予選でのグリッドは後方でしたが、タイヤがすごいポテンシャルを出してくれたおかげで、レースでは藤井誠暢選手が後方からすごい追い上げをみせてくれました。ひさびさに気持ちが良いレースでしたよね! 22番手スタートから5位はすごいことですし、アストンマーティンでの、そして今シーズンの最高位ですからね。すごく喜んでいます。チーム、スタッフ、ドライバー、そしてミシュランさんとみんなの頑張りが最終戦でかたちになってすごく嬉しいです。来年はもっともっと強くなって戻ってきますので、ぜひまた応援してください。
藤井誠暢
Tomonobu Fujii Driver
ここ数戦、レースでタイヤの摩耗が苦しかったこともあり、今回は異なる選択をして硬めのタイヤを選ぶことになりました。公式予選では後方のグリッドになりましたが、レースではおそらく16台ほどは抜いたと思います。あれほど速いペースで走れるくらいクルマも良かったと思いますし、タイヤも素晴らしかったです。またピットワークもすごく早かったですね。今年、苦しいレースが続いていましたが、チームやミシュランさんの頑張り、アストンマーティンのポテンシャルをみせることができたのではないでしょうか。一年間応援ありがとうございました。
篠原拓朗
Takuro Shinohara Driver
スタートから藤井選手がすごいペースで順位を上げてくれて、僕に交代したときは良い展開のなかでコースインすることができました。走り出しは良かったのですが、ピックアップをつけてしまったときのテクニックや、GT500の処理など課題も同時に浮き彫りになってしまいましたね。今後成長するためにも課題に取り組み、先輩に近づきたいと思います。SUPER GTでは自分にとって初めてのポイントですし、チームの今季最上位の5位という結果に本来もっと喜びたいところですが、課題も見えたので嬉しいのと悔しいのと半々な気持ちですね。
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