31号車プリウスとVivaC 86のギャップは1.6秒ほどあったものの、VivaCの松井孝允が一気にペースアップし、32周目には1秒差、さらに33周目には0.3秒差まで迫っていく。
そして34周目、松井が31号車プリウスの中山雄一の背後に迫ると、V字コーナーのブレーキングで松井が一瞬マシンをアウトに振るフェイント。これに中山が反応した隙を見逃さず、松井が中山のインに飛び込んでオーバーテイクに成功する。
交わされた中山も続くヘアピンからダウンヒルストレートにかけて反撃を試みるも、前を行く松井は90度コーナーの飛び込みできっちりブロック。これでVivaC 86が総合首位に躍り出た。前がクリアになった松井は、その後徐々に2番手以降との差を広げていく。
レース終盤には中山もラストスパートをかけて1秒差まで詰め寄るが、オーバーテイクには至らず。VivaC 86が第7戦タイに続く、今季2勝目を挙げ、シリーズチャンピオンを獲得した。来季はスーパーGTの第1ドライバー登録を行わないという土屋武士にとっても嬉しい戴冠となった。
決勝ではトップ争いのほか、3位争いもヒートアップ。17周目とライバルより早いタイミングでピットインし、暫定3番手までポジションを上げていたB-MAX NDDP GT-Rと、26周目にピットインしてB-MAX GT-Rの目前でコース復帰を果たした初音ミク AMGが、20周近くに渡って激しい接近戦を展開した。
ストレートスピードで勝るB-MAX GT-Rのヤン・マーデンボローとブレーキングで勝る初音ミク AMGの谷口信輝は、何度かサイド・バイ・サイドの争いを繰り広げた後、45周目のV字コーナー飛び込みで、谷口がマーデンボローを交わして3番手に浮上。そのまま逃げ切って、開幕戦以来となる今季2度目の表彰台を手に入れている。
谷口に交わされたマーデンボローのB-MAX GT-Rは、その後、Hitotsuyama Audi R8 LMS、Excellence Porscheにも逆転を許し、6位で今季最終戦を締めくくった。