2014年からの3年間、GT-R+ミシュランは最強パッケージとして君臨したが、3連覇は夢となり、最後の最後で、その座を明け渡してしまった。ミシュランタイヤにとっても歴史的なチャンスを逃してしまうことになったが、小田島エンジニアには落ち込むそぶりは見えなかった。
「みなさん、3連覇を期待されてがっかりされているのはわかりますが、年間でチャンピオンを獲るのがすごく難しいことなのに、すでにそれを2年連続で獲っているわけですから、それだけでも十分、称えられるものだと思います。今年も最終戦に臨むまで十分、チャンピオンのチャンスを持ちながら期待される位置にいたわけですし、シーズンもずっと優位に進めて、開幕戦から一度もランキングトップを逃すことなく最終戦前に初めてランキング2位になったわけですよね。それを考えると今年のGT-Rの強さ、ミシュランの強さはシーズンを通じてお見せできたかなと思います」
この最終戦ラウンドのもてぎを除けば、ウエイトが100kgを越えるもっとも重い状態でも、GT-R+ミシュランのパッケージはどのサーキットでもポイント圏内でフィニッシュできるパフォーマンスを見せていた。その強さを踏まえると、GT-R+ミシュランがもてぎでパフォーマンスを発揮しきれなかったことがあるとはいえ、レクサスRC F+ブリヂストン、そしてヨコハマタイヤがこのもてぎでパフォーマンスを大きく上げたことは間違いない。
ミシュランの小田島エンジニアはライバル勢のタイヤを、純粋に称える。
「今年はタイヤメーカーの切り口で考えれば、我々は同じGT-Rを使った他のタイヤメーカーと比較していますので、そういう中ではGT-Rの中ではベストのタイヤだと思っています。ただ、GT500のシリーズ全体を見たときにタイヤメーカー別で見れば、今季はブリヂストンさんが3勝、ヨコハマさん3勝、ミシュランは2勝です」
「もちろん、ラッキーもありますが、それもレースですので、タイヤメーカー別の切り口ではテクニカルな面では我々だと思っていますが、スポーティングな面ではブリヂストンさん、ヨコハマさんの勝ちなんです。しかも、ヨコハマさんは我々と同じ参戦台数が2台なのに3勝している。供給台数を考えると私の中ではヨコハマさんの3勝は素晴らしいなと思います」

RC Fはこのもてぎで投入したニューエンジンのパフォーマンスがかなり良かったとチーム、ドライバーが声をそろえる。そのエンジンとともに、タイヤがもてぎのコンディションにマッチし、勝敗を左右したこともまた、見逃してはいけない。
チャンピオンを獲得したDENSO KOBELCO SARD RC Fはこの最終ラウンドのもてぎの2戦で合計、37ポイントを獲得した。結果的に、今シーズンのスーパーGT500クラスのタイトル争いは、1ラウンド2レースのギャンブル性の高さが如実に表れた形となった。