こうして迎えた2シーズン目は開幕戦から好調で第2戦富士で2位表彰台を獲得。そこから勢いを増し、全戦でポイントを獲得していった。これは今年から日本での滞在時間が増えたことやラリーへの挑戦も、間違いなく今年の躍進につながったようだが、本人にとってはそれ以外の要素も大きかったと言う。
「たしかに、その2つの要素が関わっていたかもしれないけど、それ以上に昨年起きた問題をひとつひとつ解決できたことが今回の結果につながった一番のポイントだと思う。エンジニアやメカニックともたくさんコミュニケーションをとって、どうすればもっと速くマシンを走らせられるかを学んだ。もちろん、その中には日本での滞在期間を増やしたこともあるかもしれないし、ラリーへの参戦も影響しているかもしれない。でも、それだけじゃなくて、今年やったことすべてが今回の結果を出すために必要不可欠だったと思う」
コバライネンの今年の躍進、特に最終戦での快進撃を支えていたのは、純粋に勝利への執念だった。シーズン前半で2度の2位表彰台を獲得するものの、コバライネンは常に「嬉しい結果だけど、勝ちたい」と口にしていた。その思いが顕著に現れたのが2レース制で行われた最終戦のうちのひとつ目。第3戦の決勝だった。
朝の予選ではハーフウエットという難しいコンディションで見事初のポールポジションを獲得。そのまま優勝を目指したがフォーラムエンジニアリングADVAN GT-Rがタイヤ無交換作戦を決めて逆転トップに浮上し、後半スティントを担当したコバライネンは必死にGT-Rに追いつきオーバーテイクを試みるが、わずか0.2秒届かず今季3度目の2位フィニッシュとなった。
DENSO RC Fとしてはこの結果によってランキング首位に躍り出て、チャンピオン獲得への大きな足がかりとなったのだが、レース後のコバライネンの表情は、ここ2年のなかで一番険しい表情を見せていた